彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「ふん。わかっているのならいい。行け。グラスは、アルコール専用のガラス製品だぞ?」
「わ、わかりました・・・行こう、カンナさん。」
「お、おう・・・」
素早くカンナさんの手を引いて、店へと逃げる。
その途中、背後から声が届く。
「凛!」
「瑞希お兄ちゃん?」
オネェさんと白熱討論中の彼。
振り返れば、こっちを見ながら言った。
「今夜はお祝いだ!凛が単車に合格した正式な祝杯するからな!最後まで付き合えよ?」
「え!?」
(私のためにお祝いって・・・!?)
戸惑いながら立ち止まれば、満面の笑みで言われた。
「凛には、ご褒美あげなきゃだろう!?今夜は帰さないぜ~!?」
「ぶっ!?」
今夜は帰さない。
いつもは、終電に間に合うように家に帰還していた私ですが、その一言で決めました。
「はぁい!今夜は帰りませーん!!」
(終電ではなく、始発で帰ろう!!)
〔★凛は自分の欲望を優先した★〕
「ちょっとー!?なによそれ!?みーちゃんばっかじゃなく、あたしにもいちゃつかせなさい!」
「やだねー!凛は俺の可愛い、こ・・・・!」
「いい加減にしろ、お前ら!ご近所の噂になるだろう!凛道も、早く店へいけ!」
「はーい。」
「高千穂も、礼も兼ねて夕飯を食べていきなさい。凛道、ちゃんとエスコートするように。」
「はーい!あざーす!獅子島先パーイ♪」
「え~・・・なんか、俺とカンナさんの扱いに差を感じるのですが・・・?」
「後輩の分際で口答えするな。さっさと行け!しっ、しっ!」
(むぅー・・・だからって、人間扱いしないとか・・・)
最後、獅子島さんに犬をおい払うように言われた。
いつもなら、結構後を引く怒りけど、今日は気にしなーい♪
だって、私は今夜、瑞希お兄ちゃんからご褒美をもらえるんだもん!
そう思ったら、多少ムカつく扱いでも気にならなーい!
「うふふふ~♪」
「・・・ジー・・・・」
「はっ!?カ、カンナさん!?」
「ずいぶん、ご機嫌じゃねぇーか、凛ちゃんよ?」
浮かれていて、気づくのに遅れた。
私を見るカンナさんの冷たい目に。