彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


「ふん。わかっているのならいい。行け。グラスは、アルコール専用のガラス製品だぞ?」

「わ、わかりました・・・行こう、カンナさん。」

「お、おう・・・」





素早くカンナさんの手を引いて、店へと逃げる。

その途中、背後から声が届く。





「凛!」

「瑞希お兄ちゃん?」





オネェさんと白熱討論中の彼。

振り返れば、こっちを見ながら言った。





「今夜はお祝いだ!凛が単車に合格した正式な祝杯するからな!最後まで付き合えよ?」

「え!?」





(私のためにお祝いって・・・!?)





戸惑いながら立ち止まれば、満面の笑みで言われた。






「凛には、ご褒美あげなきゃだろう!?今夜は帰さないぜ~!?」

「ぶっ!?」





今夜は帰さない。




いつもは、終電に間に合うように家に帰還していた私ですが、その一言で決めました。



「はぁい!今夜は帰りませーん!!」



(終電ではなく、始発で帰ろう!!)



〔★凛は自分の欲望を優先した★〕



「ちょっとー!?なによそれ!?みーちゃんばっかじゃなく、あたしにもいちゃつかせなさい!」

「やだねー!凛は俺の可愛い、こ・・・・!」

「いい加減にしろ、お前ら!ご近所の噂になるだろう!凛道も、早く店へいけ!」

「はーい。」

「高千穂も、礼も兼ねて夕飯を食べていきなさい。凛道、ちゃんとエスコートするように。」

「はーい!あざーす!獅子島先パーイ♪」

「え~・・・なんか、俺とカンナさんの扱いに差を感じるのですが・・・?」

「後輩の分際で口答えするな。さっさと行け!しっ、しっ!」



(むぅー・・・だからって、人間扱いしないとか・・・)





最後、獅子島さんに犬をおい払うように言われた。



いつもなら、結構後を引く怒りけど、今日は気にしなーい♪

だって、私は今夜、瑞希お兄ちゃんからご褒美をもらえるんだもん!

そう思ったら、多少ムカつく扱いでも気にならなーい!





「うふふふ~♪」

「・・・ジー・・・・」

「はっ!?カ、カンナさん!?」

「ずいぶん、ご機嫌じゃねぇーか、凛ちゃんよ?」





浮かれていて、気づくのに遅れた。

私を見るカンナさんの冷たい目に。



< 420 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop