彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「オメーよぉ・・・ガチで、真田先輩にべた惚れされてるな・・・!?」
「べ、べた惚れって!?やだなーカンナさん!」
「真田先輩にも、モニカ先輩にも愛されてさぁ・・・!?やるなぁ、色男・・・!?」
ムニ!
「い、痛い痛い!?痛いよ、カンナさん!」
メンチを切りながら、私のほっぺをつねるヤンキーガール。
やめてと言えば、舌打ちしながら彼女は手を離す。
「あほくせー!・・・けど、これでわかっただろう?」
「痛たた・・・え?なにが?」
ジンジンする頬を撫でていれば、カンナさんが私に言った。
「さっき、テメーで言ってただろう?『なんで、一番大事な瑞希お兄ちゃんを後ろに乗せたら、空を飛んじゃうのか?』って!あたしに聞いてきたじゃんか?」
「へ?あ、はい・・・けっきょく、無事に乗せることができましたので、今となっては謎が深まりましたが・・・」
「勝手に自前の七不思議にしてんじゃねぇーぞ!?まだわかんないのか?なんで、真田先輩だけ、オメーが最後まで乗せられなかったか?」
「え!?カンナさんわかったの!?」
「おう、簡単じゃんか?」
驚く私に、彼女はあっさりと答える。
「凛にとって真田瑞希が、傷一つつけたくないぐれー大事だから、そんだけ慎重になりすぎてたってだけのことだろう?」
「え?」
「オメーさ、おもちゃとかでも、大事にし過ぎると、使わないでしまっとくタイプだっただろうー?」
「え!?言われてみれば・・・」
「きゃははは!ビーンゴ!そういうことじゃん?」
楽しそうに笑うと、私の手を払うカンナさん。
「要は、一番のお宝だってことで、リキみ過ぎてたのが原因だろうーぜ?」
「あ・・・」
そう言いながら、私の腕に自分の手を絡ませてくるカンナさん。
私に密着しながら笑う。
(・・・・・・・・・・・そう言うことだったんだ。)
大事だから、傷つけたくない。
大切にしたい。
嫌われたくない。
好きでいてほしい。
すべての条件が整い、それらのピースが当てはまった今は、カンナさんの言葉でパズルは完成した。
(私が瑞希お兄ちゃんを乗せて、上手く走れなかった理由。)
「・・・意識しすぎで、上手くいかなかったんだ・・・」
カンナさんの言葉で、やっと私は『答え』を見つけられた。