彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「すみません・・・・・・・急に、言われましても準備できてないので無理です・・・!」
いきなりは無理。
いろいろ無理。
苦渋の思いで言えば、眠そうにしていた瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。
「あんだよ~!?なんで泊まれねぇーんだよっ!?」
「わっ!?」
ギュッと抱き付かれる。
「ちょ、ちょっと瑞希お兄ちゃん!?」
「にゅ~・・・!凛~泊まれよぉ~!」
「わわっ!?み、瑞希お兄ちゃんてば~!」
抱き付かれただけじゃなく、頬ずりしてきた。
「凛~♪」
「あう・・・!」
この密着は嬉しい。
嬉しいけど・・・・・
(瑞希お兄ちゃん酒癖悪い??)
そう思わずにはいられない相手の態度。
フラフラしながら、私に抱き付いてきてくれる相手を必死で支える。
「りん・・・泊まってけよぉー・・・」
「そ、そうしたいのはやまやまですが!」
からんでくる可愛い酔っ払いを、なだめながら私は言った。
「泊まるつもりで来てなかったので・・・今夜は無理です。」
「あ?なんだよ、もう俺の話忘れたのか?」
「話?」
何のことかと思って気えば、ヒックとうなってから彼は言う。
「先輩の言うことは絶対王政!!」
「ヤンキー世界は、王政なんですか!?」
キリッとした顔で語るが、言ってる内容はツッコミがいがあった。
「先代である、俺の言うことは聞かなきゃダメなのぉー!!」
「ちょ・・・わわ!?暴れないでください!」
「泊まれぇー!!」
必死で説得するけど、会話がかみ合っていない気がした。
子供のように文句を言いながら、私に抱き付く力が強くなる。
「凛・・・細いなぁ~・・・」
「へ?」
「ちっちゃいのに、細いなぁー・・・小さいなぁー・・・俺心配だぁ・・・」
「ええ!?なにがです??」
「だってよぉ~・・・こんなにちっちゃいから、つぶれないかと思ってよぉー・・・」
「うっ!?」
ギュ~と私の首に、顔を埋めながら言う姿。
(きゃ、きゃわいい!!)
間違えた。
(可愛い!でした。)
自分で自分にツッコミをしながら、可愛いお方に声をかける。