彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





(『お姉さん』じゃなくて、『お兄さん』だったんだ・・・・)





相手の性別が『男』とわかったことが、ちょっとショックだった。


残念だった。





(こんなに可愛いのに・・・綺麗なのに・・・)



もったいない・・・。





すごく、気の毒な気持ちになってしまった。

そんな思いで見つめていたら言われた。




「それはそうと、お前どこの子?家に帰らなくていいのか?」

「え・・・?」





(家に帰る・・・・)





「ほら、送ってやるから場所言え。心配しなくても、誘拐なんざしねぇーよ。」

「いいです・・・。」

「はあ?いいわけないだろう?どうした、家族と喧嘩したか?」

「けん・・・?」





喧嘩?





”お父さんて、本当に自分さえよければいいみたい!ねぇ、凛ちゃん?”


”お母さん、うるさいことばっかり言うから一緒にて疲れるよなー凛?”



喧嘩。



いつもいつも。






”凛、お父さんは私達がどうでもいいのよ!”


”凛、お母さんは、楽ばっかりしてると思わないか?”




いつも私を。





”お母さん、お父さんの顔を見るのもいや。”


”お母さんも昔はあんな嫌な人じゃなかったんだけどな。”




お互いに、お互いが。









「「凛もいやだよね?」」









相手に言わないで、私に言う。




私を介して、文句を言ってばかりで―――――――――――







「――――――――――喧嘩にさえならないっ!!」










お兄ちゃんの言葉に、私は怒鳴っていた。


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