彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◇お礼参りで気合入れろ!一本勝負で夜露死九(よろしく)!?
その日、私は神社に来ていた。





「わぁ~キレイ!」





目に映るのは、着物を着た綺麗な花嫁さん。

隣には、袴を着た花婿さんがいる。

砂利の小石が引きつめられた道を、初々しい夫に手を引かれて嬉しそうに歩いていた。

その様子を、少し離れた砂利の道で瑞希お兄ちゃんと2人で見ていた。





「へぇ~けっこう、仏閣で婚礼する奴もいるんだなぁ~」

「ねぇ~神社で結婚式っていうのもいいですね、瑞希お兄ちゃん!」

(私と、あたなの結婚式とかぁ~!!)





隣でほのぼのという人に、私は言えない妄想を心に浮かべながら笑う。

本日私は、瑞希お兄ちゃんと二人で有名な神社に来ていた。





「ここ、単車のお祓い以外にも、縁結びのご利益もあるみたいだな~?」

「そうみたいですねー!」





そうなんです。

私、菅原凛こと凛道蓮は、お祓い目的で神社にきています。

瑞希お兄ちゃん達に買ってもらったバイクのお祓いをするため、瑞希お兄ちゃんと二人っきりで!!





「マジ、凛と来れてよかったわ。」

「俺もですぅ!」





ニコニコしながら言う瑞希お兄ちゃんに私も笑顔で答える。

そんな私達に、黒い人影が近づく。





「お二人とも、そろそろ始まりますよ?」

「あ、すみません!」

「巫女のお姉さん。」





声をかけてくれたのは、赤いはかま姿の巫女さん。





「もうすぐ、いらっしゃいますからね。」





優しく笑うと、アイコンタクトで教えてくれる。

彼女が見た視線の先を追えば、宮司さんがこっちに来ていた。

さっき、畳の部屋で、私たち自身をお祓いしてくれた男の人。

バイクのお祓いをする時は、先に人間をしてからバイクのお祓いをするんだって。



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