彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
もらったバイクを初乗りして、『フェリチータ』に戻った時だった。
瑞希お兄ちゃんを乗せて安全運転を終え、ガレージにバイクを止めていたら瑞希お兄ちゃんが叫んだ。
「・・・あっ!そうだ!!」
「どうしました、瑞希お兄ちゃん?」
私の問いに、私の頭を撫でてから彼は視線を逸らした。
目を向けた先は――――
「忘れるとこだった、れーじ!」
「あん?」
煙草をくわえた烈司さん。
瑞希お兄ちゃんの言葉に反応して、彼もこちらを向く。
「どーした、瑞希?ATMから生活費降ろし忘れたか?」
「馬鹿!ちゃんと出してんだよ!そーじゃなくて、お祓いだよ!」
「お祓い??」
「そうだ!」
聞き返せば、瑞希お兄ちゃんは烈司さんから私へ視線を戻しながら言った。
「凛にやったバイク、お祓いしなきゃダメだろう!?」
「えっ!?本当にお祓いするんですか?」
(呪いを信じないわけじゃないけど、まさか本当に、手配してくれるとは・・・)
だから、引き気味で聞いた。
「そこまで、呪われた部品を使ってたんですか、百鬼さん・・・・!?」
「コラコラ!!誰が呪い代行だ!?」
「というよりも、車やバイクを買ったら厄除けでお祓いはするだろう、凛道?」
「獅子島さん。」
不安な私に、眼鏡の先輩が冷静な声で言う。
「普通は車屋やバイク屋など、買った店が紹介してくれるがな。」
「あ・・・そういう意味でしたか?」
心霊現象は信じる方なので、半分ホッとする。
「だから瑞希お兄ちゃんは、お祓いしろと言ったんですね?」
「そういうことだ、凛!」
私の言葉に、かなり真顔で瑞希お兄ちゃんは言った。
「世の中には、人間以外の生き物もいるんだ!幽霊もいておかしくないんだぞ!?何かあってからじゃ困るだろう!?」
「そ、そうですか・・・・。」
〔★人間以外は、すべて一緒にしていた★〕