彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「ねぇねぇ・・・あの子が、凛道蓮?」
「うそ!?全然ヤンキーらしくない!」
「でも、尾村っちを、一発で倒したよね~」
「あれ、ハイキックって言うんじゃない~格闘技かじってる系~」
キャッキャと言いながら話してる。
最初は、3年の女だけだった会話。
それが2年、1年の女子へと感染する。
「あの人が、次の『龍星軍』四代目?」
「そうじゃないの?なんか、思ったのと違うけど~!」
「超礼儀正し~!」
やけに熱のこもった目で、凛道を見ながら女達は騒ぐ。
「ねぇ、あたしにも見せてよ、凛道蓮君!」
「私が先よ♪押さないで~!」
「あん!あたしにも見せてー」
(おいおい・・・マジか?)
1つだった波紋が広がるように、女の声が騒がしくなった。
やかましい声が大きくなる。
「つーかさ、なんか凛道蓮君ってさ、あれじゃない?」
「めっちゃ可愛いんですけど~!?」
「だよね、だよね!?聞いてた話と違う!美形っぽくない?」
「あーん、顔見たいけど、マスクで見えない!」
「あの~すみませーん!凛道さ~ん!こっち向いてもらえません??」
「やばいよ、あの子!モデルっぽくない!?ジャニーズじゃん!?」
〔★女子高生から黄色い悲鳴が上がった★〕
だが、うるさく騒ぐのは女だけじゃなかった。
「あれが、凛道蓮!?」
「円城寺君越えの最強ボーイ!?」
「あ?」
ムカつく単語を発したのは、女どもに交じっている男達。
「おいおい・・・ずいぶん小さくないか?」
「中坊かよ?くそ~マスクで顔見れねぇ~」
「けど、あの尾村さんを秒殺だもんなー?」
女よりも小さい声だったが、声の調子はノッていた。
「マジ、今のはすげーよ・・・!初めて、人が一撃で倒されるの見たぜ~?」
「首にハイキック入れたよな~!?俺間近で見ちゃった!」
「それがどうした~?俺なんか、バッチリ写メに成功したぞ!」
「俺、ムービーで入れちゃったぜ?」
「マジ!?見せろよ!?」
「後で送ってしてくれよ!」
(おいおい、マジかよ・・・・)
撮影してたんかよ?
俺らのガチの真剣勝負?
(そりゃあ、人のいる場所で始めちまった俺らが言えた義理じゃねぇけど・・・)
〔★文句の言えない立場だった★〕