彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「ど、どうしたの円城寺君!?もしかして・・・怒ってる・・・?」
「オメーがどうしたんだよ!?もしかしなくても怒ってんだよ、俺は!!わかるだろう!?」
「ああ、そういうことですか。尾村の仲間のことで?わかるよ、その気持ち〜僕も正直ムカつ・・・」
「オメーにもムカついてんだよ凛道蓮!!つーか、わかってねぇから!なに気持ちの良い笑顔で、すっとぼけてくれちゃってんだよ!?」
「え?僕??僕に・・・怒ってるんですか??」
「最初からそう言ってんだろう!?」
「いや、今はじめて聞きました。」
「ぐあああああああああああ!!ホントのホントに、テメーはァァァ!!」
頭をかきむしるようにかくと、私の方へと近づいてくる円城寺君。
倒したヤンキーのシカバネを越えてやってきた。
「お前!いい加減にしろ!」
怒りながら、拳を上げて接近する。
その姿にギョッとする。
え!?私にケンカ売る気!?
「待って待って!円城寺君!暴力反対!」
「うっせぇ!死ねボケ!!」
トンファーを下ろして制止をかける。
無害ですアピール。
戦う意思はないと、体でもあらわしてるのに彼の怒りは収まってない。
「動くんじゃねぇ!!」
「わっ・・・!?」
有無を言わさない口調と顔に、びっくりして固まる。
(―――――――殴られる!)
バキッ!!
「ぎゃあ!?」
「・・・え?」
やられると思った瞬間、後ろからにぶい声がした。
「あれ・・・?」
私を狙ったはずの円城寺君の拳は、私をスルーしていた。
私の背後へと伸びた円城寺君の腕が引っ込むのに合わせ、ドサッ!と何かが倒れる音がした。
「ええ!?」
(な、なに!?)
反射的に振り返れば――――――
「あ!?羽柴って奴!?」
さっき、トンファーで打ち払ったうちの1人があお向けでひっくり返っていた。
うつ伏せだったはずが、なぜか表を向いている。
倒れた向きが変わっていた。