彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
呑み込めない事態に、呆気にとられる。
「どうなってるの・・・?」
「なんだ、オメー、気づかなかったのか?」
「え、円城寺君!?」
「背後から、狙われてたんだぞ?」
そう語る彼は、もう怒ってない。
(狙われてたって・・・あ!?)
それでハッとした。
「もしかして・・・僕を不意討ちしようとしてる敵に、気づいてないふりをして、返り討ちにするために、僕に向けてオーバーリアクションのお芝居してくれたの・・・?」
(私を助けてくれた・・・?)
現場の状況から推測し、予想した答えを口にする。
「ボケっとしてんじゃねぇよ・・・!」
これに口悪く円城寺君は言うだけで、否定も肯定もしなかった。
パンチに使った拳を振りながら言う態度だけで、十分だった。
「あ、ありがとう!おかげで、助かりました・・・」
「ケっ!勘違いするなよ!」
お礼を言ったら、しかめっ面で言われた。
「格下相手に、不意打ちでオメーを凹られたくなかっただけだよ!お前を倒すのは俺だからな・・・!」
「??円城寺君・・・それはつまり?」
よくわからない方に進んでいる話。
聞けば、乱暴な口調で円城寺君は言った。
「オメーをタイマンで倒すのは、俺だって言ってんだよ!覚悟しとけよ、ボケ!」
「僕とタイマン・・・?」
え?なにそれ?
(私、円城寺君ともバトルしなきゃならないの・・・!?)
「きゃははは!素直じゃないの、大河~」
「うるせぇぞ、カンナ!」
カンナさんの言葉に、頬を染めて、ソッポを向きながら言う円城寺君。
よくわからないけどこの場合、照れ隠し発言ということいい印象のない円城寺君だけど、いい人であるのはわかるだって瑞希お兄ちゃんを好きなひとに悪い人はいないもん!ねぇ、瑞希お兄ちゃん?
そんな彼に、心穏やかな気持ちで私は言った。
「円城寺君の気持ち、よくわかりました。その上で、僕とのタイマンはお断りいたします。」
「はあ!?即答で拒否った!?なんで!!?」
〔★凛はストレートに断った★〕
〔★大河はストレートに聞き返した★〕