彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
円城寺君の質問を受け、私はきっぱりと答えた。
「当たり前じゃないですか?『悪鬼』とか呼ばれる凶暴な人と戦いたくないです。」
「『悪魔』って呼ばれてるくせに、可愛こぶってんじゃねぇぞ!?オメーが弱い振りしてんのはわかってんだよ!」
「いや、僕、本当に弱いですから。」
「庄倉に続き、尾村を倒した奴が寝ぼけてんじゃねぇぞ!?」
「それらは例外です。・・・瑞希お兄ちゃんの悪口を言ったから、ついカッとなって・・・仕方なかったんですよ。」
「何お前!?瑞希さん次第で強くなれんのかよ!?」
「あっは!やだなぁ~円城寺君てば!好きな人・・・あこがれの人のためなら~強く~なれる気がする~♪って!ロマンチストさん!」
「誰もそこまで言ってねぇよ!?どんだけ瑞希さんが大好きなんだオメーは!?」
「大好きなんてそんな~!!」
大声でハレンチ(?)なことを言う円城寺君の肩を、バシバシと叩きながら言った。
「僕的には、瑞希お兄ちゃんは一番であって~世界最高であって~やだなぁ!何言わせるんだよぉ!」
「痛ってぇ!?つーか、言わせてねぇよ!オメーが勝手に言ってんだろう!?なぁ~にが、『僕』だ!?猫かぶってんじゃねぇぞ!?媚びてんのか!?」
「は?円城寺君に媚びて、嬉しいことなんて何もないからしないよ?『僕』とか『俺』とかは、気分に合わせて使い分けてるだけです。」
「ホントお前はこの野郎!つーか、意味的には同じことだろう!?そうやって、瑞希さんもたぶらかしたんかぁ~!?」
「ちょ、自分が好かれないからって、八つ当たりしないでください・・・」
「言いやがったなテメー!?」
胸倉をつかみながら、私を怒る姿は涙目。
その様子に、ちょっとだけ可哀想と思った時だった。