彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


「おい、どうすんだよ!貝原達、もうへばっちまったのか!?」

「くっそ~やっぱり、組長相手はキツかったんか?」

「どうすんだよ!?尾村さんやられちゃったのによ!?」


(奴らも、困ってる・・・・)




見れば、敵であるヤンキー共も、全員喧嘩をやめていた。

逃げるなら今しかないと思ったら、横で声が上がった。




「チッ!仕方ねぇな・・・・凛道!」

「な、なに?円城寺君??」

「癪(しゃく)だが、オメーも一緒に来い!先公共が来る前に、バッくれるぞ!」

「バッくれ・・・??ああ、逃げるって意味だね?」

「それ以外あるか!?もっと緊張感持てよ、テメー!」




私の返事が気に入らなかったのか、文句を言いだす円城寺君。




「おい、ケンカは後にしろ!行くぞ!」

「お先~大河!」




そんな彼に、捨て台詞のように言ってから離れる吾妻君と長谷部君。




「あ!?待て、オメーら!」

「ばーか!テメーがとろいんだよ、大河!行くぞ、凛!」

「カ、カンナさん!?」




素早く私の腕を取ると、引っ張るヤンキーガール。





「って!頭置いて先に行くなテメーら!」


「あ!?奴ら逃げるぞ!」

「待ちやがれ!」





出遅れた円城寺君が叫べば、それで困っていたヤンキー達も動き出す。




「何でオメーは凛道に優しいんだ、カンナ!」

「あたしは普通だ、神経質!」

「どこがだよ!?おい、凛道!カンナに何しやがった!?そいつは男にのぼせる性格じゃなかったぞ!?」

「僕に言われても・・・」

「誰がのぼせてんだコラ!?くたばれ嫉妬野郎!」

「くっ・・・!!」

「やめてよ、カンナさん!悪口はよくないよ?その言い方、円城寺君じゃなくても、ちょっと~・・・・・!?」




そう言いかけて、目だけで円城寺君を見て気づく。

彼の背後に、迫る木製のバットを持った金髪の男子の存在に。



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