彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
私の進行方向を遮(さえぎ)ったのは、尾村の仲間の五分借りだった。
「あ!?凛がっ!」
「やべーぞ、おい!」
「大河―!後ろ―!」
それを目にしたカンナさん達が叫ぶ。
「はあ?凛道がどうし――――――!?」
それに気づいた円城寺君が立ち止まり、振り返る。
「可児!?テメー何の真似だ!?」
私の前に仁王立ちするヤンキーに、円城寺君が怒鳴る。
「なんだこの野郎!凛道をどうしようってんだよ!?」
しかし、円城寺君の問いかけに可児は答えない。
(この人、どういうつもりなの?)
ジッと私を見下ろす相手に、怖い気持ちを抑えながら言った。
「な・・・なんですか、あなたは!?どいてください!」
「どけねぇな。」
そこで初めて、可児は口を開いた。
それも、こちらの言葉に対する拒絶だった。
「オメーを通すわけにはいかねぇ。どうしても、通って逃げてぇって言うなら―――――」
「言うなら?」
相手の言葉を聞き返せば、真剣な目で私を見ながら言った。
「凛道、俺とタイマンしろ!」
「またっ!?」
〔★本日2度目のリクエストだった★〕
「ちょっとー冗談じゃないですよ!?なんですか、今!?タイマンが流行ってんですか!?」
「オメーには、恐れ入ったぜ。」
呆れる思いで言えば、真面目な顔で可児は言う。
「仲間を思いやる男気、無駄のない動き、相当な喧嘩の場数を踏んでると見た!」
「いや、そんなにケンカはしてないです。」
(むしろ、感情で行動してるって言うか~)
「口先だけかと思えば、なかなか悪知恵にも、たけてやがる!オメーこそ、『悪のジャックフロスト』を語るにふさわしいぜ!」
「ケンカ売ってんですか!?」
「はっはっはっ!褒めんだよ、4代目!オメーみてぇな男は、そうそういるもんじゃねぇ!ぜひとも戦いてぇ・・・!」
「はああ!?僕、君が思うような男じゃないんですけどよ!?」
〔★むしろ女子である★〕