彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「「「「おおおおおおおお!!」」」」



可児の申し出を受けた瞬間、われんばかりの歓声が起きた。




「二度目のリアルタイマンだ!」

「凛道君、カッコいい~」

「可児!尾村さん達のカタキとってくれ!」

「俺らの根性見せろ!」



「何言ってんだ、凛道!?」

「凛、マジでやるのかよ!?」




そんな周囲からの声援に続き、円城寺君やカンナさんの声がした。




「凛!そんな負け犬ども、真面目に相手することはねぇ!」




そう言いながら、一目散に私の方へ駆け寄ってくるカンナさん。




「カンナさん。」




そんなヤンキーガールに言った。




「持っていてください!」

「へっ!?」




両手に持っていたトンファーを、カンナさんに向かって投げる。

これに、驚きながらも、1本、2本と順番にキャッチするカンナさん。





「凛!?得物を捨てるバカがいるか!?」




本当は。

本当はトンファーで戦いたかった。

まだ、男女の力の差に不安がある。

だけど・・・・





「可児は丸腰だ。」



(私は、瑞希お兄ちゃんの後継者を名乗ってるのよ・・・・!)



「俺だけ武器を持つわけにはいかねぇ。」



(4代目総長として、かっこつけさせて・・・・!)





ヤンキーらしく、そう告げて身構える。

組手をする時のように、態勢を整える。

それで、周囲がどよめいたが気にしない。

集中力を乱されては困る。




「・・・つくづく、良い男だな、オメーは。」




対する可児は、少しだけ笑った後で怖い顔をする。




「凛道、俺が得物持ってもよかったんだぜ?得意武器離してよかったのか?」

「いやなら、タイマンをやめますが?」

「ふん!オメーが良いなら、それでいいんだよ。あとで―――――負けた時の言い訳になるからよっ!!」




そう叫ぶと、私へと正面から向ってきた。


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