彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
キャッチされた拳を伝って、相手が力をかけてくる。
見た目通り、かなりの握力。
「くっ・・・・!?」
(ヤバ。)
強い力に危機を感じる。
そんな私に、爆裂弾のメンバーも騒ぐ。
「凛!?」
「なに捕まってんだオメーは!?」
「で、ですよね~?」
「ほのぼのしすぎだぜ!オラ!!」
「わっ!?」
円城寺君達に返事したところで、掴まれた手を可児に引っ張られた。
「はっはっ!捕まえたぞ、凛道!」
「いいぞ!やっちまえ!」
「鼻つぶしちまえ!」
得意げに言う可児の後ろで、戦ってない奴の仲間も同じ顔をする。
(甘いな。)
捕まえた私に、まだ何もしてこない可児を見て思う。
即・攻撃をしていれば、お前の勝だった。
手を掴まれてドキッとしたけど、もう落ち着いた。
瑞希お兄ちゃんを愛する私と、オムライスが好きなお前とじゃあ、気持ちが違うの。
背負ってるものが違う。
(――――――――この勝負、勝たせてもらう。)
「はははは!顔面修羅場にしてやるぜ~!!」
「そーは、いかない。」
―――――ゴン!!
笑ながら、私へと拳を振りかざす顔に頭突きした。
「ふが!?」
鼻を狙って頭をぶつける。
それで顔をしかめて目を閉じた。
「せ―――――――のっ!!」
開いている手を可児の肩に乗せ、掴まれている手と合わせて『土台』にする。
可児は私の手を絶対に離さない。
絶対に動かない『土台』。
その2か所へ力を入れて飛び上がる。
「―――――――――たあっ!」
可児の顎めがけてのひざ蹴り。
ゴッキーン!!
「があ!!?」
膝を通して、可児の歯のかみ合わせが揺れている振動が伝わる。
(よしっ・・・!)
そのまま、体の重心を可児の上半身に、顔にかける。
(こうすれば―――――――――!)
「あ・・・なに!?うわっ!?」
(頭が重くなるから倒れるはず!)
「わあああああああああ!?」
ドッスーン!!
私付きで、可児が床に倒れた。
「ああああああああああ!?」
ガラガラ、ガッターン!
床というか、ぐちゃぐちゃに倒れている机の山の上へ。
「うぐっ!?」
上から私、下には片机のパイプの足。
それに加え、倒れる時に膝で可児の頭を押したので――――――
「かっ・・・・は・・・・」
「可児っ!?」
見事、意識を失ってくれた。