彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


対じしていた敵を見下ろす。

相手はピクピク痙攣(けいれん)しながら、白目をむいている。




(・・・・勝った。)




20秒ぐらい相手を見つめて、動かないのを確認する。

無言で立ち上がれば、周囲も静かになっていた。





「・・・・・・・可児も負けた?」





戸惑いながら言ったのは、羽柴というヤンキー。

青い顔で、私を見ながら言う。

だから、答えた。





「ご覧の通りです。」





そう言った瞬間、どっと歓声が上がる。





「やったぜ、りーん!!」

「マジか、凛道蓮!?」


「すげーあいつ!可児まで倒した!」

「噂通り、龍星軍4代目、つえぇぇ!」

「見た目に反して最凶じゃんか!?」





カンナさん達をはじめ、東山の生徒が騒ぐ。




(勝てたんだ・・・)




それで、ぼんやりしながら実感できた。


私の勝利。




(勝ちましたよ、瑞希お兄ちゃん。)





この場にはいない、生活指導室にいるであろうお方を思い浮かべる。




(やりましたよ、瑞希お兄ちゃん・・・!)



あなたのために、勝ちました。




(この勝利は、瑞希お兄ちゃんに捧げまーす♪)





〔★ささげられても困るだろう★〕





「凛、マジ最高!」




感無量で、しみじみしていたら抱き付かれた。





「カンナさん!?」

「こいつぅ~可愛い顔して、やること男前!」





そう言って、トンファーを持ったまま、後ろからハグされる。




「無事預けるから、マジヒヤヒヤしたけど、かっくいーじゃんか!?」




首に腕を回され、グイグイと体を密着してきた。




「ちょ・・・カンナさん!それやめよう・・・!」

「あんだよ~?息が出来ねーんか~?」


(違います。背中におっぱい当たってるんです・・・!)





同性同士とは言え、複雑・・・。


熱くなる頬で固まっていれば、目の前に黒い影がよぎる。



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