彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「さすが凛・・・やること、ようしゃねぇー」
「あれじゃあ、可児もアウトだな・・・」
「か、か、可児ぃ!!」
気の毒そうに言うカンナさんと円城寺君。
その後で、羽柴が可児の名を呼んだ時、五分刈り男は床に倒れた。
ゴトン!
(今度こそ・・・勝ったよね・・・?)
疑いの目で、相手を見下ろす。
うつ伏せで動かない可児良信。
(うん・・・もう大丈夫かな・・・)
そう判断したので、周りに聞こえない大きさで息を吐いてから言った。
「終わったようですね。」
ダウンした姿を見届けてから、笑顔で回れ右。
「さあ、逃げましょうか。」
何事もなかったかのように言えば、ギョッとしたカンナさん達が言ってきた。
「逃げましょうって、凛!」
「切り替え早すぎんだろう!?」
「そう言われても、先生が向かってきてるんでしょう?逃げなきゃ、面倒になりませんか?」
「そりゃあ、そうだが!ホントのホントにテメーはよぉ~!?」
そのまま、あきれ顔のカンナさんと円城寺君が近づく。
私も二人に近づこうとしたのだが。
「に、逃がさねぇ!」
ガッシ!!
「はい?」
腰の辺りが暖かくなる。
見れば、五分刈りが私のウェストに抱き付いていた。
「ぎゃあああああ!?」
(エッチぃ!!)
「このセクハラ野郎!!」
ボカ!スカ!バキ!ドカ!
いきなり触ってきた変態に、拳の乱れ打ち。
叩いた後で、怒鳴りつけた。
「離れてください!セクハラですよ!?」
「セクハラって、凛!?」
「男同士で、それはねぇーだろう!?」
「失礼な!?男同士って―――――・・・・!?あっ!?」
(そうだった!私、男の子してたんだった!)
忘れがちだったけど、今の私は男子だ!
〔★忘れ過ぎである★〕