彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「やべ!先公だ!」
真っ先に反応したのは、観客気分でいた生徒達。
いっせいに、バタバタと足音を立てながら、1-4の教室から離れていく。
「え?先生が来たの?」
「それ以外あるかよ!?」
私の質問に、爆裂弾の中で一番小柄な男子が答える。
舌打ちすると、廊下をのぞき込む長谷部君。
その背後で、同じように外を見た吾妻君が叫んだ。
「おい、まずいぞ!男の教師、全員で来てやがる・・・!」
「面倒だな!俺ら、目ぇつけられてるのによぉ・・・」
吾妻君から伝えられた情報に、円城寺君も舌打ちする。
「秀、どっちからきてる!?」
「5組の方からだ!」
「5組・・・」
(5組って、涼子ちゃんと一緒に来た方だよね?)
となると、教室の後ろからきてる??
「だったら、前からバックレるぞ!3組の方からだ!」
「わかった大河!俺と秀で、退路を作る!」
「停学は面倒だからな!」
「頼んだぞ!悠斗、秀!」
「「おうよ!」」
待たせっぱなしだった2人は、円城寺君の合図で素早く教室から飛び出した。
その様子を見ていたら、肩を叩かれた。
「凛!あたしらも行くぞ!トンファーしまえ!」
「う、うん。」
カンナさんにうながされ、両手に持っていた武器を収縮する。
ヒュン!と振れば、改造された武器は、あっという間に縮んでポケットに収まった。
「来いよ!」
手が空いたところで、カンナさんが手を握ってきた。
「あ・・・」
(私、男の子なのに、いいのかな?)
疑問は感じたが、カンナさんは『友達』だ。
変な意味もないし、感情もないから平気かな。
そんな私を引っ張りながら、黒板側のドアへと連れて行くカンナさん。
されるがままにされた時だった。
「俺らも逃げるぞ!」
「早くしろよ!」
「急げ!」
「待ってくれ!置いていかないでくれ!」
「うるせぇ!触るな!」
「薄情じゃねぇか!俺ら、怪我で動けないだぞ!?」
「知るか!テメーの始末ぐれーテメーでつけろ!」
無情なやり時が聞こえた。