彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


クールダウンした私の耳に、熱のこもった声が響く。





「コラー!4組の中にいるヤンキー共!動くなよ!逃げらんねぇーからな!」




そう言って、割れた窓ガラスを踏みつけながら近づく教師の足音。

それにあわせて、ひどくなるカンナさん達の表情。





「くっそ~先公相手にケンカ吹っ掛けたら、こっちが学校から叩き出されちまう!」

「カンナさん・・・」


(それって退学ってこと?)


「・・・・困るね。」




停学もだけど、退学はもっと大変だと思う。

なによりも・・・・





(このままでは、瑞希お兄ちゃんとのデートが台無しになるっ・・・!!)





〔★凛だけ、心配する点がズレていた★〕





学校サボってまで、会いに来たのに!

邪魔者が入って、お預け状態のLOVEチャンス!!




(―――――――――――これ以上、邪魔されてたまるかぁぁぁ!!)




これで、私の中の恋愛スイッチが入った。




「円城寺君、カンナさん!吾妻君も長谷部君も、隠れて下がって!」

「あ!?」

「凛!?」

「何お前?」

「どうする気だよ!?」


「―――――――隙を見て、逃げえてください!!」





それだけ伝えて、人の気配が近い後ろのドアへ向かう。

私が入った入り口で、扉をはずした場所。




「凛っ!?」

「貴様ら!お茶目が過ぎたぞっ!!」



カンナさんの声と、男の声がかぶる。

扉のはずれた出入り口に人が立った瞬間、決行した。




「ごめんなさ―――――――――――いっ!!」



ブ――――――――ン!

ゴッ!!


「べあ!?」


「「「ああああああああああ!?」」」

「先公に、机をぶん投げた!?」




爆裂弾男子のハモった声に続き、カンナさんの声が響く。




〔★入ったのはラブスイッチではなく、アクションスイッチだった★〕




教科書が落ちて、空になっていた机を投げた。

机は見事に、高校教師にヒットした。





「り、凛道、お前・・・・!?」

「しっ!!」




声を出す相手を注意するため振り返る。

静かにして!と、口元に人さし指を立てながらジェスチャーする。

通じたらしく、大きく口を開けてはいたが、黙ってくれた。



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