彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「あ、赤木先生!?どうしたんですか!?」

「今、机が飛んできませんでした!?」




机の下敷きでうなる教師の周りに、他の男性教諭が駆け寄る。

彼らがこちらを、教室の中を見る前に行動した。




「うりゃあー!!」


「「うわああ!?」」




やっと来た教師へのプレゼント。

追加で机を投げました。




「な、なんだなんだ!?」

「誰だ!?こんなふざけた真似するのは!?」

「机なんか、投げて~!退学にされたいか!?」


「えい。」




決まり文句を言う大人に、もう一度投げた。




「ぎゃあ―――――――――!?」

「え!?」


ゴッチン!!




床に転がっていたヤンキーを。




「うっ・・・・ああああああ!?ワックスで逆立ててる毛先が目に入ったぁ!?」

「赤木先生!?赤木先生、しっかり!」

「無理して、机をどかして起き上がったところへ、生徒をぶつけるとは!」

「い、いてぇよぉ~!!」

「ぶつかってきたのは、3年の安倍か!?」

「こっちもダメージウケてるぞ!?」

「いや、赤木先生とぶつかる以前に、ダメージ受けてる!!」




騒がしい教師を見ながら思う。




(よしよし、足止めになった。)


「赤木先生!どうしました!?」

「すごい悲鳴がしましたがー!?」




そう言いながら、3組がある方から声と足音が響く。




(今だ!)




急いで、カンナさん達の方を見る。





―隠れてから、逃げて!―





無言で、黒板の前にある教だんを指さす。

それで、止まったままの彼らがかすかに動く。




(教師の数はたかが知れてる。そいつら集まる前に隠れて、私がひきつけてる間に、がら空きになったドアからこっそり逃げて!!)




その思いを込めて、ジェスチャーする。

これを受け、カンナさんと円城寺君が何か言おうとしたけど。





「すまねぇ。」



背の高い吾妻君が、カンナさんと円城寺君を抱える。

その口を、長谷部君が塞ぎながら、素早く教だんの後ろへ隠れた。

隠れきれてなかったけど、そこまで見るはずはない。




「クソガキ~~~~!!もう許さん!!」




怒り狂った人間は、怒りの対象しか見ない。

周りまで細かく見るわけがない。

なによりも、机でぐちゃぐちゃになっているなら、視覚も誤魔化せる。


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