彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


私の帰りを、今か今かと、生活指導室で待っている瑞希お兄ちゃん!

『待ってるよん、凛♪』って言ってくれたのに~~~~!!



〔★妄想の力は恐ろしかった★〕



(このままじゃ、せっかくのカフェデートがダメになる!2人きりの初デートなのに~~~)



思い切って、トンファーを出してみる?

トンファーで対抗する?



(・・・いいえ、ダメよ。両側から来る教師を追い払えても、私の体の動きは、赤木先生によって防がれている・・・・!)



トンファーじゃ対抗できない!

なにか・・・なにか・・・なにかいい手はないの・・・・!?



視線を漂わせながら、黒板を触る。




「―――――――あ・・・・!?」



そして、気づく。




(これだっ!!)


これを使えば――――――




わらにもすがる思いでそれを掴む。

ダランと、両手を垂らして気づかれないようにする。

そんな私に、赤木せんせーは、不敵に笑う。




「散々、手間取らせてくれた?」



そう言って、少しだけ顔を前に近づける。

わずかに縮んだ距離だけど、十分だった。





「反抗期もここまでだ!このまま大人しく~!!」


(今だ!!)

「―――――――するわけないでしょう!?」





見定めたタイミング。

自由になった両手を前に振る。

目標は、赤木せんせーの顔。




ボッフン!バッフン!!



「うはっ!?だあ~~~~!?ゲホッ!?ゴホゴホ!!」




私が投げた2つの物体。

それによって、白い煙が赤木先生を覆う。

激しく咳き込む。



「あ、赤木先生!?」

「なんだ!?なにを投げたんだ――――――――!?」



突然のことに、他の先生も事態が呑み込めない。

だから言った。






「黒板消しです。」





戸惑う教師達の問いに、トンファーをビシュ!と伸ばしながら伝える。





「てやああ!!」



―――――――ガッキーン!!


「うわああ!?」





全身全霊を込め、刺又(さすまた)をトンファーで弾く。

視界をふさがれたのと、アルミ製の武器に与えた振動で、赤木が刺又(さすまた)を持つ力が緩む。




「うらぁ!!」

「あ!?」




そこを狙って、体から押し離す。

それで、赤木の手から離れた武器。





「えいっ!」

「ああ!?」



ガッチャ、ガッチャ!



2度と使えないように、踏みつけた。
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