彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「どうでもいいでしょう?言わないって誓うんですか?誓わないんですか・・・!?」
最後の語尾は、わざと怖い声で言う。
それで身震いした後、田村という男は顎を地面に打ち付けながらうなずく。
「い、言いません!言いません!先代にも、お伝えしますから!かんべしてください・・・!!」
「よかった。ありがとう~」
「か・・・かんべんしてもらえるんですか?」
「もちろんだよ?」
わかったといったので、微笑んでから手を離す。
それでホッとする相手に言った。
「でも、君が瑞希お兄ちゃんを悪く言ったことは、まだかんべんしてない。」
「へ?」
「許すわけないじゃん?」
ガッツン!!
「げぶっ!?」
頭部を抑えて、地面に叩きつける。
鈍い声を出して、そいつは完全に動かなくなる。
「うん!これにて一件落着!!」
「「「「「どこがー!!!?」」」」」
〔★凛に向けて、東山高校の生徒達から総ツッコミが入った★〕
「うわ!?なになに?なんですか?声をそろえて・・・?」
「お前が何なんですかだぁー!?2階から飛び降りてヤンキーを倒すって、何様!?」
「ねぇ、あの子私服じゃない!?もしかして・・・」
「LINEで流れてた噂の4代目君!?」
「誰か先生呼べよ!」
「いや、二階にいた赤木先生が、鬼の形相で顔ひっこめたから、きっとすぐに~」
「コラぁァァァ!!!私服のクソガキっ!!」
「げ、ヤバ!」
近くの男子高校生の予言通り、聞き覚えのある怒鳴り声。
(せっかく、先生包囲網から逃れられたんだ!この場は潔く~)
「―――――――さよなら!!」
「「「あっ!?」」」
「に、逃げた!?」
「すげー瞬足!!」
短距離走も、長距離走も普通だけど、全速力で逃げた。
「私服のクソガキ!!どこへ行きやがった!!?」
「先生、逃げました。」
タッチの差で追いつけなかった教師に、その場に居合わせた生徒がシビアに伝える。
それに大人げなく、地団太を踏んで悔しがったのを凛は知らない。