彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)

お茶のお代わりをしていたら、勢いよくドアが開いた。




「組長、一大事です!!」

「誰が組長だ。」




そう言って、俺と雑賀先生の前に現れたのは、若い男の教師。

ソファーでお茶をしている俺達を見て目を見開く。




「あ、すみません!・・・・来客中でしたか?」

「いや、いいんだ。なにかあったのかな、赤木先生?」

「は、はあ・・・」




雑賀先生の言葉に、赤木と呼ばれた教師が口ごもる。

俺へと、チラチラ視線を向けてくる。




(なにジロジロ見てやがんだ、こいつ?)




イラッとしたが、ぐっと我慢してガンは飛ばさなかった。

俺も社会人だから、いちいち相手をニラんでいたらきりがない。

そんな俺と若い教師に気づき、雑賀先生が言った。




「どうしました?部外者がいると・・・できない話ですか?」

「え!?あ、いえ・・・なんと申しますか~」


(なるほど、そういうことか。)




あせる相手に態度に、俺も納得しながら告げる。




「そういうことでしたら、雑賀先生・・・・私は席をはずした方がよさそうですね?」




営業スマイルで穏やかに言えば、途端に、若い教師が焦り出す。




「と、とんでもない!確かに、人様に軽々しくいえる内容ではないですが、それであなたが席を立つというのは、申し訳なくて~~~」

「はあ・・・?」


(じゃあ、どうしろってんだよ?)




崩れそうな笑顔で思えば、向かいに座っていた雑賀先生が言う。




「じゃあ、はっきり言ってください。何事ですか・・・・!?」

「うっ!」




組長のあだ名に負けない顔で聞けば、一瞬ひるんだ後で、赤木という教師は言った。





「それが、その・・・・実は、ついに尾村派と円城寺派が喧嘩をはじめたんです。」

「なに!?あいつらが喧嘩をー!?」


(大河が!?)





赤木の言葉に、俺と雑賀先生は視線だけを重ねる。

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