彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「赤木先生は美人を見るとすぐこれだ!気が散る性格、どうにかならんのかね!?」
「そ、そんなことありませんよ!私は別に~」
「まったく!もういいですよ。」
大げさにため息をつくと、目だけで俺に合図を送る。
(なるほど・・・そういう誤魔化し方かよ・・・)
赤木の興味の対象を別に向けるように、からかってから怒る。
「それで?赤木先生?円城寺と尾村たちは、どこで暴れてるんですか?手におえんから、私のところに来たんでしょう!?」
「あ、ああ、はい!そうでした!」
その効果は絶大で、あっという間に赤木は雑賀先生の術中にはまった。
俺への質問も終了となる。
〔☆良い子のためのワンポイント解説☆〕
術中(じゅっちゅう):計略、作戦という意味で、仕掛けたわなのことだよん♪
手にしていた湯のみを机に置きながら聞く雑賀先生に、我に返ったような表情で赤木は言った。
「場所は1年4組です。尾村が、円城寺の教室に乗り込んだみたいです。」
「ほお~尾村は、やり口がきたねぇーからな・・・・。」
「雑賀先生のおっしゃる通りで、足止めしてるんですよ!大半の先生方は動けないんです。それだけでも大変なのに・・・!!」
「まだなにかあるのか?」
「はいっ!」
落ち着いた様子で聞き返す雑賀先生とは対照的に、赤木は暑っ苦しく語った。
「円城寺が自分の後輩を呼んだらしく、忍者みたいな凶暴な中学生が暴れまわって無茶苦茶なんです!!」
「忍者ぁ!?」
「凶暴な中学生・・・!?」
声を漏らす雑賀先生と俺に、赤木はギロッと目を細めながら言った。
「そうなんです!完全に大人をなめまくっている悪人の卵!!第一中学の生徒らしく、腕力に物を言わせ、尾村派の不良達を、ちぎっては投げ、投げてはちぎっての無茶振りなのです!」
「ずいぶん具体的だな、赤木先生・・・?」
「くっ!さすが、雑賀先生・・・!見破られましたか!?」
雑賀先生の言葉に過剰に反応すると、聞いてもないのに若い教師は語りだす。
「とんでもない悪ガキです!!恥を忍んで申し上げますが、この赤木、捕まえようとして逃げられましたっ・・・!!!」
「逃げられたのかよ!?」
(逃げられたんだ・・・)
赤木の告白に、驚く雑賀先生とあきれる俺。