彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「せっかく来てくれたのに悪いな、サナ。聞いた通り、悪ガキどもが暴れてるんだ。危ないから、静かになってからここを出ろよ。」
「雑賀先生・・・」
「お前も、『安全が確認できなきゃ帰れない』だろう?」
「・・・・はい。」
意味深に言う雑賀先生に、俺もその真意を察する。
(そうだよ・・・凛が戻るで、無事帰ってくるまで、この場所から離れるわけにはいかねぇ・・・!!)
あいつは、ここから出て言って、ここに返ってくると言った。
雑賀先生の縄張りである生活指導室。
(可愛い後輩に『待つ』と約束したんだから、待たなきゃダメだろう?)
「じゃあな、サナ。今度は喧嘩のない日に来いよ?」
「それがわかってれば、今日は来てません。」
「あははは!ちげーねぇーなぁ~?次は飯食いに行こうな?」
「もちろんです!おごってもらえてラッキー!」
「誰が金払うって言った!?まったく、安月給からたかりやがって~・・・またな。」
「はい!またね~せんせー!」
笑顔で手を振れば、雑賀先生も手を上げてくれた。
先に出ていく雑賀先生の後に、赤木という教師が続く。
去り際、俺に向き直ると、深々と頭を下げる。
やけに礼儀正しい公務員だと思いながら、会釈で返せば、赤い顔で微笑まれた。
ガラガラ、ガタン。
「・・・・・なんなんだ?」
ドアまで、丁寧にしていく赤木に、神経系の病気になりやすいんじゃないかと思う。
「にしても・・・凛の奴大丈夫かな・・・・?」
こういう時、携帯があれば、凛と連絡がつくのに。
「・・・あいつ、携帯持ってないからな・・・」
凛の親は、ろくでもない上に、ガキに金の心配までさせてる。
国の税金で食ってくのは、いろいろ文句が出るが、俺は別に構わねぇ。
いつ、自分が同じ立場になるかわからねぇし、どうしようもならない奴だっている。
若い頃しっかり働いたのに、年寄りになってから苦労するのもいる。
(とはいえ、凛には苦労させたくねぇーなぁー・・・・)
今度、俺名義で携帯持たせるか?
家族割とかが使える機種だし。
そういや、防水と防犯ベルのついた見守り系のケータイシリーズあったよな?
電話とメールができればいいから、キッズ系の携帯でいいよな。
〔★いろいろツッコミどころが満載である★〕