彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
(凛1人で弁当を届けに行かせたのも、これをきっかに打ち解ければと思ったんだが・・・)
もめなきゃいいな。
「まぁ、凛は自分からケンカ売るような奴じゃねぇし・・・つーか、平和主義的だよな・・・」
(そこが凛の良いところかもしれねぇーけど、もう少し積極性を持ってもらわないとな。)
「あーあ・・・凛の奴、早く帰ってこねぇかなぁ?ランチタイム終っちまうぞ?」
部屋の時計を見て、ため息が出る。
(大丈夫だとは思うが・・・喧嘩に巻き込まれてないよな・・・・!?)
「やめてよぉ!はなせー!」
「わはははは!円城寺に弁当を届けに来た!?つまり仲間だな!?死んでもらうぞ小僧!」
「痛いよ、痛いよ!やめてたすけてー瑞希おにいちゃーん!」
「――――――――――なんてことになってないよな!?」
可愛い凛を思い浮かべ、不安でソファーから腰が上がる。
「凛・・・!」
(喧嘩が強いとはいえ、あいつはお人よしすぎる!)
「もしも、大河に弁当を届けに行った時、ケンカに遭遇してたら・・・!?」
天然なあいつのことだ。
「喧嘩の仲裁をしようとして、巻き込まれてしまってる可能性が・・・!!」
〔★瑞希は、凛を美化しすぎていた★〕
〔★実際は、率先して戦っている★〕
(すっげー心配だ!このまま、ここで待ってらんねー!)
「凛を探しに行こう!!」
悩んだ末の決断。
そう決めて、一歩踏み出そうとした時。
「瑞希おにいちゃん・・・・!」
カラカラカラ、カタン!
「凛っ!?」
待ち望んでいた相手が帰って来た。
「帰りました・・・・」
「って!?なんで窓から入ってくる!?」
出掛けて行ったドアではなく、外へつながっている窓から戻ってきた。
その手には靴を持っており、土足で入ってこないだけ、ましだとは思った。
しかし、帰って来た場所に問題があった。
「どうした、凛!?靴を脱いでるにしても、人間は窓からの出入りするもんじゃない!許されるのは猫や鳥ぐれーだぞ?」
常識を持って問いただせば、ショボーンとした顔で言う。