彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「いえ、あの!瑞希お兄ちゃん、それが、その~~~~!?」
「隠さなくていい。大河ならともかく凛は、間違っても自分からケンカ吹っ掛けることしないもんな?」
「・・・・・・お・・・・・・・・・おっしゃる通りです・・・・・・・・!!」
俺の言葉に、か細いけど、力強い調子でうなずく凛。
不自然に視線が泳いで見えたが、きっと気のせいだろう。
(現役ヤンキー共の喧嘩を観戦して、びっくりしたんだろうな・・・)
それで挙動不審(きょどうふしん)なのだと思って言った。
「まぁ、ヤンキーとしてそれはそれで、あれだけどなぁ~もう少し、つっぱってもいいんだが・・・そればっかりは性分かな?」
「み・・・瑞希お兄ちゃんがそう言うなら、そうだと思います・・・・・!」
「あははは!なにしみじみしてんだよ?図星か、オメーは?」
プルプル震えながらうなずく凛の額を、人差し指でツンと押す。
それで青かった顔が赤くなる。
「み、瑞希お兄ちゃん!?」
「青くなったり、赤くなったり、信号かお前は~?やっと戻ってきたことだし、帰ろうぜ。早くしないと、美味いランチがなくなっちまうぜ?」
「え!?あの・・・いいんでしょうか?このまま引き上げて?」
そう言って、なぜか不安そうにする凛。
理由はわからないが、不安がっているなら、その気持ちを解消してやらなければいけない。
「当たり前だろう?このままじゃ、カフェのランチが終わっちまう。国産の安全なハンバーガーが、食べれなくなってもいいのか?」
「それは嫌です!」
「腹も減ってるか?」
「腹ペコです!」
「ぷっ!あははは!じゃあ、決まりだな。雑賀先生も、凛を確保できたら帰れ的なこと言ってたからよ。」
「雑賀先生・・・お戻りはいつに?」
「さあなぁ~赤木って男の先公が連れてったのが、さっきだからよ~」
「そ、そうですか・・・」
そうつぶやく凛の顔が、引きつってるように見えたが気にならなかった。
「大丈夫だ。心配しなくても、雑賀先生は強いから。」
(コイツ、雑賀先生を心配して、つらそーな面してたのか?ホント、良い奴だな~)
〔★瑞希は優しい勘違いをしていた★〕