彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


「一応さ、俺がいることわかると面倒みてぇーだから、こっそり帰ろうな~?」

「ええ!?わ、わかりました・・・!忍者のごとく帰りましょう!?」

「あっはっはっ!本日2度目の『忍者話』だな~」




キリッとしながら言う凛が可愛くて、ヨシヨシと頭をなでてやる。

それで照れる凛を連れて、こっそりと生活指導室から出た。

校舎の方がうるさかったが、抜き差し、差し足、忍び足で外に出る。

止めていたバイクを、エンジンをかけないでの校門の外まで運ぶ。

人がいないのを確認し、押してきたバイクにまたがり、凛を乗せてエンジンをかけた。



――――――――バウン!



良い感じでふかした単車で走り出す。

後ろにいる凛が、ギュッとしがみ付いてきたが好きにさせた。




(凹んでんだろうな~・・・大河と尾村の喧嘩を止められなくて。)




ミラー越しに見る凛の表情は、いつもと違ってうつろ。

とてもばつが悪そうにしている。





「凛、好きなもの注文していいからな~?」

「は、はい・・・・」

「もっと嬉しそうにしろよ!俺とのデートはお気に召さないか?」

「でっ、でぇーと!!!?」




からかって言えば、途端に声を張り上げる。

真っ赤な顔が肩越しに迫る。



「み、みみみ!みみみみ・・・!?」

「なんだ?蝉が鳴くのには早いぞ??」

「い・・・いいんですか!?あの!あの!あのっ!」




何を言ってるんだと思ったが、すぐに気づく。





「ああ、男に二言はねぇよ。」

(好きなものを頼んでいいって言ったのが、そんなに嬉しかったか。)




凛が安心するように、ニコッと笑って言えば、目を輝かせながら凛は言う。




「瑞希お兄ちゃん大好きっ!!俺、幸せですぅ~~~~!!」





食い物一つで大喜びする姿に、俺も思わず笑ってしまった。




「あははは!そうか、そうか!凛が幸せなら、俺も幸せだわ!」

「えへへへ!一生ついて行きまーす♪」

「はいはい。ちょっと時間がヤバいから、飛ばすぞ~しっかり捕まってな。」

「はぁい♪」




俺の言葉に従い、思いっきりくっ付いてきた凛。

そんな態度に、やっぱり帰りに携帯ショップに寄って帰ろうと決めた。



〔★瑞希の勘違いモード発動★〕
〔★凛に幸福を与えた★〕

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