彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「やだね。」
「ええぇえっ!?」
(や、やなの!?)
「凛は、未成年だろう?親に養われてる奴に、金出させてたまるかよ。腹減ったら、いつでも俺に言え。食わせてやるからな?」
「・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・!」
大人の男の顔で告げる姿は、凛々しくてまぶしい。
「大好きです・・・・!!」
「ホント、凛は食いしん坊なんだなぁ~」
思わずつぶやいた本音に、そうやって返すところも好きすぎるのでした。
(・・・・・・・・最高だったなぁ~)
昨日の後半戦を思い出し、うっとりする。
(瑞希お兄ちゃんに、尾村を殴ったことがばれなくて本当によかった。)
おまけに、良い感じに勘違いしてくれていた。
瑞希お兄ちゃんがえがく私・・・凛道蓮というキャラはどんなものかわかった。
彼の期待を裏切らないためにも、そのキャラを守らなければいけない。
(そうすれば、ゴールインも近いよね~!?)
もっと、瑞希お兄ちゃんとラブラブになるためにも、今日のお手伝いも頑張ろう!
そう意気込んで、お店の裏口から店内に入った。
「こんばんは~瑞希お兄ちゃん!凛が来まし~♪」
「いらっしゃい・・・・!!」
ガシッ!
「待ちわびたぞ、忍者ちゃん?」
「はい?」
そう言って、私の首根っこを掴むのは瑞希お兄ちゃん。
「凛っ・・・・!!」
「み、瑞希お兄ちゃん・・・?」
待っていたのは、メンチを切ってる好きな人。
私の名前を呼ぶ彼の声は怒ってる。
顔も怒ってる。
「ど、どうしたんですか・・・・!?」
「『どうした』、だぁ?」
聞いた瞬間、表情がけわしくなる。
目つきが鋭くなる。
その後で、大きく息を吸い込んだと思えば、
「――――――――――なんで隠してたんだ!?」
「ひゃ!?」
大音量で、怒鳴られた。