彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「瑞希がこんなんだから、もう寝かすわ。瑞希の布団、別の部屋に置いたまんまだから、寝れるように床の用意してくるわ。」

「れーちゃん優しい!その後で、あたしをベットまで運んで~」

「アホか。そのまま、押し倒されて男の処女を失いたくないっての。」

「烈司、ついでに俺の部屋の加湿器をONにしてくれ。」

「お前動けるだろう?自分のことは自分でしろ。」

「わはははは!俺様はなぁ~!!」


「凛、悪いけど、瑞希を見ててくれよ。すぐ支度してくるから。」

「はい、わかりました。」

「おい!?俺様の意見は無視か――――!?」


「じゃあなぁ~」




百鬼の言葉通り、話を聞くことなく住居エリアへと烈司さんは行ってしまった。




(・・・本当に世話焼きね・・・。)




相棒というよりも、お母さん・・・

いや、この場合はお父さんかな?



(烈司さん、将来良いお父さんになるな・・・)



彼が立ち去った先をしみじみした思いで見ていれば、リズミカルな曲が響く。




チャラ~ラ~♪

タターン、タラ~♪

ピロリローン♪



「「「あ。」」」




3種類のメロディーと、3つの声が重なる。



「あらん、お仕事のお電話ね?」

「む?こんな時間にめずらしいな?」

「おお!?キャバクラの聖子ちゃーん!!」



それぞれの携帯を取り出すと、立ち上がって外へと出ていく。



「凛ちゃん、ごめーん。ちょっと失礼~」

「私用だ。瑞希から目を離すなよ?」

「わはははは!同伴のお誘いでも営業してきたかー!?それでもいいけどよぉ♪」


「わ、わかりました・・・ごゆっくり。」



本当に個性がバラバラだと思いながら見送る。

お店の中には、瑞希お兄ちゃんと二人で取り残された。
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