彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「にゅ~・・・・りーん?」
「あ、はい。ここにいます。」
ふにゃふにゃと、可愛い声で名前をよばれ、ドキッとする。
とろんとした目が私を見る。
「凛・・・」
「は、はい!」
甘い声の調子で名前をつむがれる。
「おーいで♪」
「きゃあ!?」
その瞬間、突然腕を引っ張られる。
「み、瑞希お兄ちゃん!?」
気づけば、彼の膝の上に乗っていた。
(わわわ!?嬉しいけど、これはちょっと~~~!)
「にひひひ~凛は可愛いな?」
ちゅう♪
「・・・・・・・・・はい?」
今、ちゅう♪とか、音がしませんでした?
「りーん」
ちゅう
ちゅう。
はい、してますね。
音と一緒に、両頬とか、額とか、やわらかいものが触れてますね。
(って!?ちょっとぉおおおお!?)
「ちゅ、チュウした!?」
「ちゅう?」
(瑞希お兄ちゃんって、キス魔なの!?)
ということは、誰にでもする!?
私以外にも・・・・!?
「だめ!」
「むぐ!?」
近づいてきた唇を、手でふさぎながら言った。
「ちゅーしちゃダメ!」
「ふはぁい?」
「だ、だめです!こんな簡単に・・・・キス、しないで・・・・!」
そう伝えて、口から手を離す。
このままじゃダメ!
嬉しいけど、この人寝かせよう!
そして、お母さんに・・・じゃなくて、烈司さんに言おう!
酔うとキスするくせがあるので、直してくださいって!
(くっそぉ~~~~!今日のところは、ご褒美ということで大目に見るけど、他の人にしたら許さないんだから!)
〔★何様だという考えだった★〕
先に立ち上がると、座り込んでいる瑞希お兄ちゃんを引っ張る。
「立ってください!烈司さんが待つ部屋で、寝てください!連れてきますから!」
「にゅ~~!何怒ってんだよぉ~!?」
私に抵抗するように、身を振って経とうとしない瑞希お兄ちゃん。
「怒ってないです!瑞希お兄ちゃんが、ちゅうーを、だれにでもするのかと思うと、嬉しさが半減して・・・・!」
「しねぇーよ?」
「は?」
思わずこぼれた私の本音に、首をかしげながら彼は言った。