彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「み、ずき・・・お・・・!?」
「―――――――りん。」
小さく、ささやくように彼は言った。
「ご褒美だ。」
「あっ・・・・!」
その言い方に体がしびれる。
自然と、瑞希お兄ちゃんへと回していた腕に力がこもる。
強くすがりつけば、それに合わせてかれが私を抱きなおした。
「あ・・・」
「なぁ・・・?」
問いかけられたのかどうかわからない。
ただ、視線を私に合わせてから、再び唇を合わせてきた。
(お兄ちゃん、お兄ちゃん、瑞希お兄ちゃん・・・・!)
夢でもいい、酔っててもいい。
私だけに構って。
私だけのあなたでいて。
「んふ・・・んん・・・」
「はっ・・・」
勢いに任せ、私の方から唇をくっつける。
押してみる。
それに彼は、私の髪を書き撫でながら唇の角度を変えてきた。
くすぐったいけど気持ちいい。
瑞希お兄ちゃんの匂いが心地いい。
お酒の味もしたけど、一番強く感じた味は・・・・
「――――――――ふぅ・・・!」
「あん!はぁ・・・はぁ・・・はぁあ・・・!」
どれぐらい、触れ合ってたかわからない。
先に呼吸を吸ったのは瑞希お兄ちゃん。
それに続くように、私も深呼吸する。
お酒は飲んでないのに、頭も体もフラフラする。
「み、瑞希お兄ちゃん・・・・!」
泣きそうな思いで、彼を見上げる。
「今のが、『キス』だ。わかったか?」
「~~~~~~~~!?」
そう語る眼は真剣だった。
真顔で見つめられ、見惚れて何も言えない。
「凛、返事は・・・・?」
「あ、あ、あ・・・・!?」
(へ、返事って!?返事を返せと言うの!?)
kissした直後にお返事要求!?
そこまで私、余裕ないよぉ~~~!!
「凛。」
「わ、私は!」
演技を忘れて『私』と言う。
うわずった声を出す。
普段とは違う彼に戸惑ったのだけど。
「大好きだ、凛。」
「え・・・・?」
そう告げる瑞希お兄ちゃんの顔は、笑っていた。