彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
家出して泣いていた私に、手を差し伸べた時と同じ、優しい笑顔。
「凛・・・♪凛・・・♪凛・・・・・!」
どこか嬉しそうに、私の名をつぶやきながら、額と額をくっつけてくる。
「私も。」
それでどうでもよくなった。
「私も・・・・・俺も瑞希お兄ちゃんが大好き。」
菅原凛であっても、凛道蓮であっても、あなたが好き。
大好きなことには変わらない。
「・・・・・・愛しいです・・・・・」
「俺も。」
つぶやいた独り言に、返事が返ってくる。
近い距離で見つめ合う。
瑞希お兄ちゃんが、私へと体重をかけてくる。
キスの余韻で、体が上手く動かない。
支えられない。
(もうそれでもかまわない―――――――)
好きにして。
貴方の好きにしていいから。
私は、貴方の物。
(真田瑞希の物ですから・・・・!!)
夢心地で、押し倒してくる彼に身を任せた。
ゴッチン!!!
「あう!?」
甘いときめきを打ち消すような激痛。
強い痛みで気が付く。
(私の背後は床だったァァァ―――――――――――!!)
そりゃあ、痛いはずだ!
立ち上がったところへ、抱き付かれたんだった!
(ああ、まずい・・・意識が――――――――・・・・!?)
頭部への強い刺激によって、凛の思考は停止した。
一方の瑞希はというと・・・・
「えへへへへ~もう、おやすみぃ・・・・」
伸びた凛の上で、おやすみモードとなっていた。
真っ赤な状態で気を失う凛と、スヤスヤと寝息をたてはじめる瑞希。
「おい!今の音はなんだっ!?なにを落として――――――――・・・・!?あ!?凛!?瑞希!?」
異変に気付いたのは、音を聞きつけた烈司。
寝床を用意して踊る途中で耳にした、何かが床に落ちる音。
瑞希と凛がいる店にかけ込んで叫ぶ。
「おいおい、どうしたんだ!?」
そこで見たのは、2人仲良く、床で寝ている(!?)瑞希と凛。
その様子を見て、再び声をあげる。
「だれだー!?凛にまで酒のましたの?瑞希共々、真っ赤になって倒れてるぞー!?」
〔★烈司もまた、優しさ勘違いをしてくれた★〕
何の味?
それはどんな味がするの?
ファーストキスって、何味?
ネットや漫画は、イチゴ味って言ってる。
でも違った。
初めてのキスの味は・・・・・
カプチーノ味。
漢を見せるぜ!レッツLOVEファイト!!~完~