彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
夜、家を抜け出し、瑞希お兄ちゃんのお店に向かう。
到着したのは、夜の10時前。
会いに来るのは一週間ぶり。
(一週間もたつんだ・・・)
“ご褒美”
(きゃあああああああああ!!)
瑞希お兄ちゃんと最後に会った時のことを思い浮けば、顔が熱くなる。
お酒を飲んでいたとはいえ。
酔っ払っていたとはいえ。
「・・・・・・・・・ファーストキスしちゃった・・・・・・・・」
再会して数か月。
(ついに、瑞希お兄ちゃんとキスしちゃった!!)
それも口と口で、マウストゥーマウス!!
トゥースっ!!
(ああああ!ドキドキする、緊張する!会ったら、なんて言おう!?)
瑞希お兄ちゃんとキスした後、彼に押し倒された。
あの方になら、何をされてもよかったし、覚悟もできていた。
だけど、運悪く床に倒れたので、私のLOVEチャンスはそこで終了・・・・
(・・・・気づいた時には、モニカちゃんにひざまくらされて、頭冷されてたんだよね~・・・・)
肝心の瑞希お兄ちゃんは、烈司さんが部屋に運んじゃってたし。
(まぁ、親が起きる前に、帰れたからよかったけどね・・・・)
甘酸っぱい思い出にため息が出る。
(今夜、瑞希お兄ちゃんはいるよね・・・・)
第一発見者の烈司さんが言うには、私達は床で仲良く寝ていた。
キスした時、2人きりだったから、誰も私達の愛の営みを知らない。
〔★明らかな事故である★〕
男同士だから、バレたらまずいわけだけど・・・・
(瑞希お兄ちゃんは、覚えてるのかな・・・・?)
彼からしてきた口づけ。
ご褒美と言った意味は?
大好きという言葉は、どういう大好きだったの?
(弟みたいな存在としてなの?それとも・・・・・)
「・・・・・・・・気づいてるの・・・・・?」
(私が女の子だって、わかってるの・・・・・・・?)
不安と緊張と期待が、私を惑わせる。
会うのが怖い。
瑞希お兄ちゃんと会うのが怖い。
どんな態度を取られるか、怖いけど―――――――――
(会えなくなるのは嫌。)
せっかく再会できたのだから、彼から離れたくない。
(どんな結果になるかわからないけど―――――――会わなきゃわからない!)
迷ったけど、覚悟を決めた。
「こ、こんばんはー!」
いつも通り、声を大にして裏口から入った。