彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
実際のところ、自分以外の、他の人の気持ちなんてわからない。
生きている者同士でも、互いの気持ちを知るのは難しい。
ましてや、物言わぬ死人の考えなんて、調べようがない。
だから、好き勝手言っちゃダメだけど――――――
「だったら・・・瑞希お兄ちゃんだって同じだよ!!」
「凛?」
「悪い方にばっかり・・・・考えないでよ!!」
それを言われたら、瑞希お兄ちゃんだって同じ。
「伊吹陽翔さんが死ぬ最期の瞬間に、何考えてたかなんてわからないんだよ!?死んでからだって、どう思っているのかわかるの!?」
「っ!」
私の言葉に、今度は瑞希お兄ちゃんが言葉を詰まらせる。
これ以上何か言う前に、私は続けざまに言った。
「一番大事なのは、陽翔さんの気持ちでしょう!?今の瑞希お兄ちゃんを見たら、陽翔さん悲しむよ!?」
「凛!!それもお前が勝手に言―――――!!」
「そうだよ!勝手に言ってるだけだ!僕の想像ですよ!?だけどね、僕は瑞希お兄ちゃんが大好きなんだ!!」
「へ!?」
大好きだから、好きだからわかる。
「僕と同じように、陽翔さんも瑞希お兄ちゃんが大好きなら、そんな風に言われること、すっごく嫌だよっ!!」
「凛!?」
「僕は――――――いつもいつも、不安になる!あなたに迷惑かけてないか、困らせてないかって!?ちゃんと、4代目らしく出来てるか気になる!嫌われたくないから、好きだから、ずっと笑っててほしい!」
だから――――――
「今の瑞希お兄ちゃんを見てても、全然幸せじゃない!!伊吹陽翔さんが、みんなが言う通りの人なら、死んでからも陽翔さんは苦しんでるよ!そんな顔でお墓参りに来られても迷惑だ!」
「め・・・迷惑!?」
「迷惑です!嫌がらせ以外のなにものでもないよ!そりゃあ・・・ニコニコしながらお参りできない立場だってわかってる・・・だけど、瑞希お兄ちゃんが、みんなが苦しんでる姿を見るのは、きっと陽翔さんだって辛いはず・・・・耐えられないですよ・・・!」
私がそうだから。
部外者の私だって、こんなに痛いんだ・・・
胸が苦しくて、嫌な気分だから・・・・!
(私が終わらせる。)
私が、瑞希お兄ちゃんの痛みを取りのぞく!!