彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)


「あなたの痛みは、ここまでです!真田瑞希さん!!」

「え?」




顔色の悪い瑞希お兄ちゃんを、フルネームで呼ぶ。

驚くように眼を見開いた彼に背を向ける。




「改めまして、伊吹陽翔さん。」




瑞希お兄ちゃんが苦しむ原因へとなった相手を、にらみつける。




「この度、龍星軍4代目総長を引き継ぐことになった凛道蓮です。」


「凛!?」





瑞希お兄ちゃんから離れ、墓石の前まで行く。

拳を握りしめ、怒りを抑えながら言った。




「あなたは、初代総長の真田瑞希さんに頭を下げて2代目になった。俺は、真田瑞希さんにスカウトされて、許可をもらって、次の龍星軍の頭をする!頼み込んだお前と違って、俺は望まれてなった!」

「凛!?いきなり、何言いだして―――――!?」


「俺はお前みたいに死なない!!」




困惑する瑞希お兄ちゃん達をスルーして、何も言わない墓石に言った。




「お前がどれだけ瑞希お兄ちゃんが好きで、龍星軍のチームが好きで、どんな仲間といたのかなんて知らない!顔も見たことないから、お前がどんな奴だったかなんてわからない!わからないけど――――――!」



わかりたくもないけど。




「あなたも僕の大事な先輩です。」





瑞希お兄ちゃんつながりで縁を持った人。





「世間はあなたを、初代龍星軍以上のチームを目指して、勢力拡大をはかって、自滅したって言ってます。でも、それが本当の真実だと、俺は思えません。」

「凛・・・」




4代目に選ばれてからわかった。

噂の的にされることは、必ずしも正しい情報ばかりがささやかれるわけではないと。

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