彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「グスングスン・・・・」


「おいおい、泣き止んだんじゃなかったのか、凛?」

「はい?」




そうやって、瑞希お兄ちゃんのぬくもりを堪能(たんのう)していたら言われた。




「なんか、さっきより泣いてないか??」

「えっ!? 」

「男がいつまでも、グスングスンしてんじゃねぇーぞ?」

「いえ、僕はもう泣いては~?」

「グスングスン・・・・」




いません、という声と鼻をすする声が重なる。




「グスングスン・・・!」

「え?『グスングスン』って、これ・・・・?」

「ん?凛じゃないのか??」


「え?僕じゃないとすると・・・・・・・・・瑞希お兄ちゃん?」

「はあ!?からかってんのか、オメーは!?」




聞き返せば、ガバッと顔を上げる瑞希お兄ちゃん。

同時に私の体を引き離し、顔をのぞき込んで来た。





「凛が泣いてんだろう!?さっきから、グスングスンって――――――・・・あれ?泣いてない??」




そう言って、ポカーンとする瑞希お兄ちゃんも泣いてない。






「グスングスン・・・・」



(あれ?じゃあ、この声は――――――――?)





「「誰?」」







瑞希お兄ちゃんと声をそろえて聞く。




「烈司さん!」

「烈司!」


「俺に聞くのかよ。」




頼もしい相手に言えば、困り顔で答えてくれた。




「まぁ、ここにいる俺ら以外だろうな・・・。」

「ちょ、やぁーだ!やめてよ、れーちゃん!昼間から幽霊!?」

「わはははは!妖怪ウォッチや鬼太郎って奴だな!?ぶっ飛ばしていいか!?」

「本当にそうなら、『子供の見てる前』ではするな。あと、声のボリュームを下げろお前ら・・・・声をたどれん。」




騒ぐ私達に、眼鏡の先輩が言う。

一番確実な解決策を。




「あ、そうですね。静かにすれば~」

「居場所がわかるか。」





私と瑞希お兄ちゃんの言葉を最後にみんなで黙る。
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