彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「グスングスン・・・・」
先ほどよりは小さいけど、耳に届く泣き声。
耳をすませてたどってみれば―――――――――――
(えっ!?伊吹陽翔さんのお墓から聞こえてきてる・・・・!?)
音の発信源は、伊吹陽翔さんのお墓。
(まさか!?もう化けて出てきた!?)
〔★凛はビビっている★〕
瑞希お兄ちゃんの腕の中で固まれば、ギュッと強く抱き寄せられる。
(瑞希お兄ちゃん!?)
彼も同じことを思ったのかもしれない。
神妙(しんみょう)な面持ちで私を守るように抱いてくださったけど―――――――――
ポンポン。
「え?」
肩を叩かれる。
見上げれば、にんまりと猫みたいな口で笑っている烈司さん。
笑顔で首を横にふると、人差し指を立てて伊吹陽翔のお墓を指さした。
「え・・・?」
「烈司??」
(なに?どういうこと??)
烈司さんが何を伝えようとしてるのか。
(まさか・・・幽霊になってる伊吹陽翔さんが出てきた?見えるの??)
〔★凛はホラーな可能性を予想した★〕
なにか理由はあるのだろう。
そう思って、彼が指さす方をみんなで凝視(ぎょうし)する。
最初は、墓石を指さしているのかと思ったけど・・・・
「・・・・伊吹陽翔さんのお墓の後ろの後ろのお墓。」
「凛たん、よくできました。」
そうそうと言いながら、烈司さんが頭をなでてくれた。
それで誰からともなく、顔を合わせ合って、そちらへと進んだ。
(伊吹陽翔さんじゃなくて、伊吹陽翔さんのお墓の後ろの後ろ??)
近づくにつれ、すすり泣きが大きくなる。
ドキドキしながら、足音を消し、静かに身をかがめてのぞき込めば―――――――――――
「あ?」
「「「「あっ!?」」」」
人がいた。
それも、見覚えのあるメンバー。