彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
声をかけたのは、瑞希お兄ちゃんよりもはるかに劣る容姿の人。
「『みずき』って、名前なんだけど?」
「みずきー?」
「そう、『瑞希』っていう男性なんだ。」
「瑞希ねぇ・・・・・・おい!」
私の問いに、たずねた相手・・・・金髪の少年が側にいた仲間に声をかける。
「知ってる奴いるか?」
「あたし、知らない。ミサは~?」
「えー?わかんねぇーし。そっちどーよ?」
「同じく!」
「聞いたことねー」
「そーゆーこと。悪いな。」
「いや・・・話だけでも、聞いてくれてありがとう。」
金髪の少年の言葉に、内心がっかりしながらも私は笑顔で返事をした。
ショッピングモールの前でたむろしていた男女に、丁寧にお礼を言ってから歩き出す。
「・・・・見つからないか。」
あの日から。
【瑞希】という名のお兄さんと出会ってから、6年が経過していた。
私は中学を卒業し、もうすぐ高校生になる。
3月の弥生月の風は、身も心も冷やしてしまう。
「3月は去る・・・か。」
(今月も、見つからないかもしれない・・・。)
むなしい気持ちでため息をつく。
持っていた携帯を見れば、夜の11時を回っていた。