彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




声をかけたのは、瑞希お兄ちゃんよりもはるかに劣る容姿の人。




「『みずき』って、名前なんだけど?」


「みずきー?」


「そう、『瑞希』っていう男性なんだ。」


「瑞希ねぇ・・・・・・おい!」




私の問いに、たずねた相手・・・・金髪の少年が側にいた仲間に声をかける。




「知ってる奴いるか?」

「あたし、知らない。ミサは~?」

「えー?わかんねぇーし。そっちどーよ?」

「同じく!」

「聞いたことねー」

「そーゆーこと。悪いな。」

「いや・・・話だけでも、聞いてくれてありがとう。」




金髪の少年の言葉に、内心がっかりしながらも私は笑顔で返事をした。

ショッピングモールの前でたむろしていた男女に、丁寧にお礼を言ってから歩き出す。






「・・・・見つからないか。」








あの日から。


【瑞希】という名のお兄さんと出会ってから、6年が経過していた。


私は中学を卒業し、もうすぐ高校生になる。


3月の弥生月の風は、身も心も冷やしてしまう。







「3月は去る・・・か。」




(今月も、見つからないかもしれない・・・。)







むなしい気持ちでため息をつく。

持っていた携帯を見れば、夜の11時を回っていた。


< 8 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop