彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「飯食ったら、速攻で俺のところに帰ろうな?一度家に帰って、また出てくるのも大変だろう?」
「はい?」
「今日は忙しくなるから、仮眠取っておいた方がいい。一眠りしてから、準備しような。起こしてやるからよ。」
「・・・は?仮眠?」
真面目な顔で、よくわからないことを言いだす瑞希お兄ちゃん。
「何の話ですか・・・?」
「ぷっ!なんの話ってお前~!?」
わからなくて聞き返したら、軽くふき出す瑞希お兄ちゃん。
「おいおい、しっかりしてくれよ。今日は、あの日だぞ?」
「あの日??」
(あのって、なに??)
ますます、謎が深まる。
とりあえず、何かあるのだろうと思いながら質問した。
「申し訳ありませんが、あの日と言われても心当たりがありません。今日は・・・なにか忙しいことがあるんですか?」
「え!?」
一緒に歩幅を合わせて降りていた石の階段。
そう聞いた時、質問した相手の足が止まる。
「なに言ってんだ、凛!?烈司から聞いてるだろう?」
「え!?れ、烈司さん?」
首を傾げながら煙草を吸ってる人を見れば、彼も同じような動きをする。
「はあ?なんで俺だよ、瑞希?俺は言ってねぇーよ?皇助だろう?」
「え!?百鬼さん・・・?」
烈司さんを見た後で野獣を見れば、いつもの調子で笑いながら言う。
「わははははは!そいつは、凛助にべったりなモニカの仕事だろうが~!?」
「え?モニカちゃんですか?」
百鬼さんの言葉を聞き、美人のオネェさんへと視線を移せば、彼女はキョトンとしながら言った。
「はあ?凛ちゃん好きは認めるけど、そういう連絡係はイオリンの仕事でしょう~?」
「え・・・・?獅子島さん?」
モニカちゃんから怖々と、獅子島さんを見れば、みけんにしわを寄せながら眼鏡は言う。
「馬鹿者共が。凛道のことは瑞希、お前の責任だろう?」
「えっ!?・・・ちょっと待てよ・・・!」
そのやり取りに、表情を引きつらせる瑞希。
「それじゃあ、まさか・・・・!?」
互いの話を聞き合い、気まずい顔で固まる5人。
「もしかして、オメーら・・・・・!?」
「というよりも、俺ら全員・・・」
「この中で凛ちゃんに今日のこと・・・」
「誰一人として・・・・」
「話してないのかよっ!!?」
「「「「みたいだな・・・!」」」」
絶叫ツッコミをする瑞希に、全員の表情が崩れる。
疑問符を浮かべる私の前で、瑞希お兄ちゃんが軽くキレながら叫ぶ。
「あああー!!嘘だろう!?なんで言ってないんだよ、オメーらは!?ちょっと前にも、こんなことあっただろう!?」
(前にもあったんだ・・・私の知らないところで・・・・)
〔★歴史は繰り返されていた★〕