彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「『隙をつく』っていう意味なら、今夜が絶好の集会日和(びより)だ。族するなら、素早い行動と冷静な判断が必要になる。・・・・凛、お前はどうしたい?」

「僕は~・・・・」




瑞希お兄ちゃんの言葉に、再度考える。

彼が言ってることは、正しい。

奇襲と言うわけじゃないけど、私がおじさんの立場なら、今夜集会を開くなんて思わない。



(むしろ、集会を別の日にしてもらうよりも、今日した方がいい。)



なによりも――――――



「瑞希お兄ちゃんの言い方じゃあ、今夜するのがベストなんでしょう?」

「凛?」

「だって、ヤンキー素人の僕が判断するより、初代総長の瑞希さんの判断の方が安全だって普通は思いますよ?」

「凛、それじゃあ――――――――!?」

「はい。」




大好きな、この世界で唯一の大切な人に向かって告げる。





「本日、凛道蓮は、龍星軍4代目総長としてデビューしまっす!」




(あなたが望むなら、みずきおにいちゃんがおっしゃるなら、やってやろうじゃないの!)




「マジで、凛!?いいのか・・・?」

「もちろんです!予定通り今夜、出陣します!」



確認するように聞く瑞希お兄ちゃん達に私は言った。



「人生、計画通りにはいきません!なにがあるか、わかりません!それを思えば、今夜のこと、事前にわかってラッキーですよ!だって、ケンカとかになったら、いつ襲撃されるかわからないし、そうでなければ抜き打ちテストなんてやってられません!!」

「凛・・・!」

「だから、瑞希お兄ちゃん!烈司さん、モニカちゃん、百鬼さん、獅子島さん!今夜の旗揚げ、ご指導の方をお願いします!!」




ぴょんと、最後の階段を飛び下り、まだ石段にいる先輩方に頭を下げる。




「俺、今夜漢になります!お願いします!!」

「凛っ・・・・!」




私の言葉に、階段を降りる音に合わせて誰かが飛びついてきた。

ううん、誰なのかわかってる。



「よく言った、凛!カッコいいなぁ~お前は~!」

「瑞希お兄ちゃん♪」



愛する人。

私を抱き寄せ、ホクホクとした顔で言う。




「凛の覚悟、バッチリ伝わったぜ!?俺らで、バッチリ男にしてやるからなぁ~!!」

「はい、漢にして下さい~」




〔★瑞希の言う『おとこ』と、凛の言う『おとこ』は別の意味だった★〕


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