彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「やれやれ・・・瑞希お兄ちゃんのためなら、ぶっつけ本番も苦にならないってかー凛たん?」
「ホント、健気~!あたし、凛ちゃんのためなら、今夜のドレスアップは頑張っちゃうわー♪」
「見た目よりも、中身が肝心だろう?場所とルートを見直さんとな。」
「わははははは!初めてのお使いかよ、オメーら!?凛助!瑞希に男にしてもらぇー!!」
「は、はい!頑張ります!」
見守ってくれていた先輩方にお礼を言い、瑞希お兄ちゃんを見る。
目が合えば、にっこり笑われた。
「心配すんな。凛は、バッチリ俺がガードしてやるからな?」
「瑞希お兄ちゃん・・・」
「ぜってぇ・・・陽翔みたいにはしない。凛は、俺の大事な弟だ・・・!」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」
そのまま見つめ合い、抱き合う私達。
「僕も・・・・瑞希お兄ちゃんみたいになれますか・・・?」
「ばか、俺よりも上いくんっだろう?」
「お手本は、瑞希お兄ちゃんです!」
「あははは!じゃあ、大丈夫だ。総長のイロハ、俺が教えてやんよ!そうすりゃあ、一月後には、凛も俺色だ!」
「俺色・・・・!」
「凛は、真っ白だから、染めやすそうだもんな~ははは!」
(それはつまり、俺色に染めてやるってこと!?きゃああああああああ~~~~!)
好きな人の言葉に、恥ずかしくて叫びたくなる。
嬉しくてはしゃぎたくなる。
だけど、緩むのは隠れた口元だけにして、ギュッと瑞希お兄ちゃんの体に腕を回す。
「頑張って、染まります!瑞希お兄ちゃんみたいに、お兄ちゃん以上の良い色出します!」
「くっくっ・・・・期待してるぜ、弟?」
甘くささやくと、ヨシヨシと頭をなでてくれる瑞希お兄ちゃん。
(弟なんて・・・・!)
恋する貴方から特別発言を受けて、弟みたいなんて言われて、私・・・!
(身内のように、家族のように言われて、幸せ・・・・!)
幸せのはかり方は、人それぞれ。
瑞希に恋する凛が、彼から弟扱いを受けているのは、恋愛ストーリーからすると横道にそれている。
その矛盾に、男装の女の息子が気づくのは、あと3分後。
(ああ~ん!私の恋ってば、順調ー♪)
〔★そう思っているのは凛だけである★〕
~恋色、あなた色に染めあげて!!~完結~