彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◇LOVE充電!4代目は準備中!!
真っ暗な場所を歩いている。
暗いけど、進んでいる道がわかる。
でも、明かりも何もなくて、段々と不安になる。
《凛!また、漫画なんて読んで!本を読みなさい!》
《凛、父さんは凛のために残業してるんだぞ?もっと勉強を頑張れないのか?》
お母さん?お父さん?
《凛にとって、良いことだからしなさい!あなたも、神様に祈りなさい!》
《親の言うことは聞くべきだぞ?誰のおかげで、生まれてこられたと思ってるんだ?》
お母さん、お父さん、やめて!
追いかけてくる声は、私の知っている人達。
≪凛っ!≫
≪凛!!≫
怒った声で、繰り返し、私を攻め立てる。
やめて!やめて!
ごめんなさい!怒らないで!
言うこと聞くから、嫌なことを言わないで!
(ちゃんといい子にするから、頑張るから――――――――!!)
「頑張らなくていい。」
「え?」
「凛は、そんなことしなくていいんだ。」
その『声』に合わせ、ラジオのように流れていた『嫌な音』が消える。
「凛は、悪くない。俺が、凛はいい子だって知ってる。」
誰?
(あなた、誰?)
白い服を着た男の人が、『小さい私』を抱き上げる。
「龍星軍総長、真田瑞希の目に狂いはねぇーよ!凛は、俺の自慢のいい子だ。」
「瑞希お兄ちゃん!!」
とたんに、周囲が明るくなる。
温かくって、やわらかくって、気持ち良い。
それをもっと感じたくて、私は彼に抱き付いた。
「・・・・ん!・・り・・・・!!」
誰かが、何か言っている。
「凛!」
「えっ!?」
名前を呼ばれた。
ビクッと身体が震える。
その動きに続き、沈んでいた意識が浮き上がる。
「しっかりしろ、凛!」
その言葉で、視界が明るくなる。
「大丈夫か、凛!?」
「・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・?」
視界に映ったのは、心配そうに私を見る好きな人。
天井をバックに、私をのぞき込んできていた。