彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「平気か?怖い夢でも見たのか?」
「あ・・・。」
「ずっと、うなされたぞ?」
そう言って、私の額を、前髪をかき分けて撫でてくれる。
彼に身を任せたまま、ぼんやりとした頭で聞く。
「・・・ここは・・・・?」
「なに言ってんだ?俺の部屋だろう?一度、入ってるだろう?」
「瑞希お兄ちゃんの部屋・・・?」
言われてみれば、ブラウン色の本ばかりが入った本棚も、山積みなっているコーヒーマークの書籍たちにも見覚えがあった。
「凛を昼寝させるために、俺のベット提供したんだろーが?」
「昼寝・・・」
「まぁーだ、寝ぼけてんのか、こいつは~?無理もねぇーけどよぉー・・・・」
小さく笑うと、いつもの笑みを私に向ける瑞希お兄ちゃん。
「つーか、着替えの断念はともかく、バンダナはずした方がよかったな・・・・そのせいで、首が閉まって、嫌な夢を見たんじゃねぇーか?」
「あ・・・」
「2人だけだから、はずすぞ?」
優しく言うと、鼻まで覆っていた布をほどく。
それで新鮮な空気が体に入る。
「俺達と・・・・俺といる時ぐれー、気を抜いていいんだからよ。」
「瑞希お兄ちゃん・・・」
「ちゃんと、眠れたか?」
「あ・・・はい。」
その問いかけで思い出した。
どうして私が寝ていたのか。
瑞希お兄ちゃんの部屋のベットにいるのかを。
(そうだ私・・・)
お腹いっぱいの焼き肉を食べた後、『felicita(フェリチータ)』へ戻ってきたんだ。
瑞希お兄ちゃんに勧められた紅茶を飲んで、お昼寝してたんだ。
(瑞希お兄ちゃんのベッドでお昼寝をしたのは――――)
早戻りする記憶。
それでいろいろ思い出した。