彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「つーことで!お待たせ~凛!瑞希特製の安眠ティーだ!」
「あ、ありがとうござます・・・!」
そう言って出された紅茶はいい香りがした。
「熱いから気をつけろよ~」
「は、はい・・・」
隣に座ってくれる瑞希お兄ちゃんに緊張しながら、カップの中身を一口飲む。
とてもさわやかな味がした。
ミントよりはやわらかいさわやか系の味。
「美味いか、凛?」
「は、はい!スッキリしてます。」
「そうか、そうか。」
嬉しそうに私の頭をなでると、彼は言った。
「そんじゃあ、今夜の打ち合わせするか。なぁ、オメーら?」
「おう。」
「オッケー」
「無論。」
「わははははは!!」
その言葉で、他の先輩方の表情も引き締まる。
「まずはな、凛。今夜の集会はあくまで、シークレット扱いだ。」
「シークレット・・・内緒なんですか?」
「そういうことだ。凛、デビュー前にケンカしまくったからさ~フジバラからの横やりも避けたいかあらよ~」
「あれは巻き込まれ事故ですって!」
「ははは!わかってるって。凛、お前の総長デビューは、今夜12時だ。場所は、十文字パーキング。」
「えっ!?十文字って、ガラが悪いヤンキーばっかりがたむろしてるパーキングのことですか!?」
「お前もガラの悪いヤンキーの1人だけどな。」
真面目に聞き返せば、比較的真面目な顔で答える瑞希お兄ちゃん。
「アシは、オメーの単車使いな。特服は・・・あっちで着替えてもいいし、ここから着ていってもいい。」
「じゃあ、着てから出かけましょう!あたしが、コーディネートしてあげる!」
「モニカちゃん。」
ハイハイ!と手を上げながら、オネェさんが立候補する。
「凛ちゃん、素材が良いから~化けるわよぉ~!どれを着せようかしら~!?」
「モニカ、着せ替え人形じゃねぇんだぞ!?」
「瑞希の言う通りだ、モニカ。仮にも瑞希は、堅気をしてるんだ。特攻服でうちの駐車場から羽ばたかせるわけにはいかん。」
「え~?でもー!」
まだ何か言おうとするモニカちゃんに、ため息交じりで獅子島さんは言った。