彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「ロングではなく、ショートの特服を着せろ。それなら、長めのジャケットを上から着せてしまえば、サツ共に気づかれずに目的地に行けるだろう。」

「わはははは!なんなら、途中でジャケット脱いでいいぞ、凛助~!楽しい捕り物になるからよっ!」

「ボケ!!凛は素人だぞ!?軽々しくしてんじゃねぇーよ!」

「お前ホント、喧嘩好きだよな~」


(好きと言うか、中毒なんじゃ・・・・)




烈司さんの言葉に、どうなんだろうと思ったらヘビースモーカーのお兄さんは言う。




「用心しすぎるぐれーが、凛たんにはちょうどいいからな。単車の方は俺と皇助で調整したから、トラブル起こすことはねぇだろう。」

「あ、ありがとうございます、烈司さん、百鬼さん!」

「わはははは!もっと俺様をあがめろ!」

「静かにしろ、皇助。お前に神的な要素はない。凛道、これが今夜お前が走るルートだ。確認しろ。」




そう言って、1枚の紙を私に差し出す獅子島さん。」




「ありがとうございます・・・こんなものまで用意して頂いて・・・・」

「ふん、先代の甲斐性だ。黒い線が引いてあるのが、通常のコースだ。赤が、サツ共と遭遇した時に逃げるコース、青がほかの族と鉢合わせた時の回避コースだ。」

「すごいですね・・・」


(とっても、細かい・・・・)




性格が出ているとは思ったけど、こうやって指示を出してもらった方が助かる。




(さすが、瑞希お兄ちゃん達のブレーンね・・・)


「あれ?なんかこのコースだと、結構都心を中心に走るようですが・・・?」

「当然だ。」




私の質問に、獅子島さんは堂々と言う。





「見せびらかす意味でも、大々的に派手に走ってもらわんと困る。」

「み、みせびらか・・・!?」

「瑞希がな!」




聞き返せば、メンチを切りながらニラまれた。




「勘違いするなよ、クソガキ・・・!?四代目として目立たせてやらんと、瑞希のうるさいだけだ。俺の意志ではなく、多数決によるものだ。気を抜くなよ・・・・!?」

「は、はい、わかりました・・・・」


(そんなに怒らなくても~)





いいじゃないと思いながら、瑞希お兄ちゃんを見る。

これに瑞希お兄ちゃんは、苦笑いしながら首を振る。

他のお兄さん達も同じ顔をしてる。


< 854 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop