彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「俺ら、凛が気に入ったから龍星軍を渡したんじゃんか?凛は一人じゃない。ちゃんと、俺らが側で見守ってるからよ。」
「・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・」
「凛、タイムアップだ。」
最後の時間のカウント告げられる。
「はい。」
それに私も、うなずいて答える。
ブロン!ブロロロ!!
温めていたエンジンを動かす。
今度こそ。
(行こう。)
「行ってきます!」
指でシルキロールを直し、両手でハンドルを握る。
「おう!気をつけてな~!」
「いってらっしゃーい、凛ちゃん!」
「ポリに気をつけろよ~」
「喧嘩になったら返り討ちにしろ!!」
「次会うまで、無傷でいるよう。」
「はいっ!!」
にぎやかな先輩方に会釈して、単車を発進させた。
「凛!またあとでなー!!」
バランスを取りながら、車道へと出る。
ミラー越し、そう言ってきたのが瑞希お兄ちゃんだとわかった。
(大丈夫・・・・怪我とかしないで、ちゃんとあなたの元に返ってきます!)
とは言ったものの。
「油断禁物だからね・・・・!」
初めての旗揚げ。
(1人きりは心細いけど。)
それでも大丈夫なように、瑞希お兄ちゃんが元気をくれた。
応援してくれた。
(・・・・まぁ、暴走行為にエールを出す大人ってのも、どうかと思うけどね・・・・)
私の中の真面目な『菅原凛』が苦笑いする。
けれど、すぐにそんな私は消える。
「俺は、『凛道蓮』だ。」
(男として、瑞希お兄ちゃんに応えられるだけの漢になるための暴走行為なら、やってやろうじゃない!?)
不思議と楽しくなる。
背中に旗を背負い、腰にポールを指し、ぶかぶかのトレーニングジャケットを着て単車を走らせる。
これから迎える現実は、今食べているキャンディーみたいに甘くない・・・と口の中でアメ玉を転がしながら覚悟する。
(非行上等!やるぞぉ~~~~~~!)
気持ちを切り替えて、アクセルを強く踏む。
車もバイクもまばらな道を進む。
好きな人の側にいたいから、好かれたいから、それしか方法がないから。
これが私の恋愛ロード。
瑞希お兄ちゃんが愛しい分だけ、気合も入る。
ちなみに、私のための送迎式は、30分かかった。
~LOVE充電!4代目は準備中!!~完~