彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
わたくし、菅原凛こと凛道蓮は、今夜、龍星軍4代目総長として旗揚げを決行しました。
メンバーは私一人しかいないし、複雑なチーム事情なので、新規加入もないかと思います。
よって、副総長も、親衛隊長も、特攻隊長も、遊撃隊長もいません。
俺一人で、旗揚げ集会となったのですが。
「すみません。トラックに載せて頂いたばかりに、ご飯まで頂いて・・・」
「がはははは!気にすんな、兄ちゃん!」
出発地点である十文字パーキングに向かう途中、知らないトラックの運ちゃんに声をかけられた。
どうやら、私があまりにもゆっくり運転してるので、バイクの故障で困ってるのだと勘違いしたらしい。
実際、壊れてないとわかると、目的地まで送ってくれると言った。
トラックの後ろに単車を乗せてもらい、私はトラックの運ちゃんの横に座った。
はじめて乗るトラックは、乗るのも大変だけど、見晴らしがすごく良かった。
「すごーい!僕、トラックに乗るのは初めてです!」
「がははは!その細腕じゃあ、引っ越しのバイトも無理だろうしなー?」
豪快に笑うと、トラックを発進させるおじさん。
車内に流れる演歌と、ミラーの辺りにぶら下がるキーホルダーや写真。
「あれ?この子供達は、おじさんのお子さんですか?」
「おっちゃんでいいぜ、兄ちゃん。」
男の子と女の子、2人が写っていた写真について質問する。
「俺の息子と娘だ。」
「やっぱり!家族仲がいいですね~」
「そうねでもねぇーぜ?ガキ共は、別れた女房のとこにいるからな~」
「え!?」
返ってきた返事を受け後悔する。
(とってもデリケートな答え!聞かなきゃよかった!)
〔★凛は地雷を踏んだ★〕
「す、すみません!そうとは知らずに・・・・!!」
「がはははは!謝るな、兄ちゃん!離婚理由はさすがに言わねぇーけど、息子の方が・・・オメーと同じ年グレーなんだわ。」
「あ・・・それで・・・」
(私に声をかけてくれたの・・・?)
ふいに見せた寂しそうな父親の顔。
しかし、それは一瞬のことで、元の元気な表情で言った。