【完】ヴァンパイア、かなし
「いやぁ、ゴメンな?この乱暴女のせいで」


「お前が悪いんだろう荘司!謝れ」


そして、隣にいるのは副団長だった満島荘司(みつしま・そうし)先輩。


格段美形ではないが、涼しげな切れ長の一重にガッチリとした体格の、爽やかな風貌の男。


こちらもピラミッドの最上層にいる人間。


どちらにしても、僕のような存在がこの人達と関わっていいわけがない。


「大丈夫、です。僕が面倒がって資料を一気に持って歩いたのがいけないんです」


衝撃で転がった眼鏡を探して手を動かしながら早口で答えると、満島先輩の筋張った小麦色の手が僕の白く細い手首を掴む。


「探してんのこれ?あ、資料も拾わなきゃな……ってお前!」


僕の眼鏡を持った満島先輩が、その爽やかな顔を歪ませて声を詰まらせる。


「何ぼさっとしてんだ荘司!……って君!ち、ち、血がっ!」


それに気付いた赤嶺先輩も、僕の顔を見た途端に声を詰まらせた。


というか……『血』?
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