【完】ヴァンパイア、かなし

「あー、うちのクラスメイド喫茶なんだー。似合う？やらしい目で見ちゃやーよ？」


「み、見てません！ちょっと、関わり合いになりたくないので寄らないで貰えます？」


面白がってじりじりと近づいてくる荘司先輩を調子づかせたく無いのに、後退りが止まらない。


「もー、そんなに嫌がらなくても良いじゃん！ご来店の際は是非指名してねー。御奉仕するわよ？」


「結構です！というか口調！き、気持ち悪い！」


僕の返事にへらへらといつも通りに笑う荘司先輩。そんな彼が、ふと大人びた微笑みになり、眉毛を下げた。


「お前……大丈夫？」


それは何に対しての質問だったのだろう。今日はお昼ちゃんと血液も摂取して見た目にも元気なのは言わずもがななのに。


「荘司、先輩？」


「や、何でもねーや。今のは気にしないで」


いつも通りふにゃふにゃした喋り方なのに、何でかいつも通りに感じない。


この人は何を考えているのか分かりにくい。和真先輩が実直な分、それがとても比較し易いくらいに。