【完】ヴァンパイア、かなし
『化け物』を抑え込んだ僕は、先輩が僕の髪の毛をかき上げた手を振り払う。
「大丈夫、ですから……!」
これ以上この人達に関わってはいけない。見られてしまったし、何より目立つ。
「おいおい大丈夫じゃねぇたろ?だって血……」
「荘司!……すまないな君。保健室に一人で行けるか?資料は私達が片付けておくから」
「ありがとうございます。そうして頂くと助かります」
僕の『顔』を見たんだ。きっと不気味に思ったに違いない。
赤嶺先輩の反応に少しだけ心臓を痛めたが、こんなの小さい頃によく味わった一時の感情。
それを喉を通し飲み込んで、満島先輩の筋張った男らしい手から眼鏡をもぎ取り、かき上げられた前髪をさっと整えて足早にその場を去った。
「なんだ、愛想ねーの」
「荘司、言ってやるな。あの色、見られたく無いんだろう……でも、綺麗だった」
廊下を進む僕は、先輩達の会話は耳に届かず、体にまだいる『化け物』の残り香に、鼓動を乱していた。
「大丈夫、ですから……!」
これ以上この人達に関わってはいけない。見られてしまったし、何より目立つ。
「おいおい大丈夫じゃねぇたろ?だって血……」
「荘司!……すまないな君。保健室に一人で行けるか?資料は私達が片付けておくから」
「ありがとうございます。そうして頂くと助かります」
僕の『顔』を見たんだ。きっと不気味に思ったに違いない。
赤嶺先輩の反応に少しだけ心臓を痛めたが、こんなの小さい頃によく味わった一時の感情。
それを喉を通し飲み込んで、満島先輩の筋張った男らしい手から眼鏡をもぎ取り、かき上げられた前髪をさっと整えて足早にその場を去った。
「なんだ、愛想ねーの」
「荘司、言ってやるな。あの色、見られたく無いんだろう……でも、綺麗だった」
廊下を進む僕は、先輩達の会話は耳に届かず、体にまだいる『化け物』の残り香に、鼓動を乱していた。